第7話

「何か、お勧めはあるの?」

「ご主人様が決めたものなら何でもいいニャ」

「何でもいいと言いつつ、文句を言うとか……」

「何か言ったニャ?」

「何でもないわ!」


 さて、どうしたものやら……。


「名前をつけないという選択肢はないの?」

「……それじゃ契約は出来ないニャ!」

「私、センスないからタマとか、そのくらいしか思いつかないよ? 何かお勧めとかないの?」

「ニャン吉ならいいニャ」

「ニャン吉? それって、どこかで聞いたような……」


 うーん。思い出せない。

 でも、本人がそれでいいならいいかな。


「それじゃ、ニャン吉。今日からよろしくね」

「分かったニャ! 吾が輩が、立派な薬師少女に育ててみるニャ!」

「え? 魔法っぽい何かでササッと薬が作れるわけじゃないの?」

「人間、楽をしたら駄目になるニャ! さあ、すり鉢の使い方から教えるニャ!」

「う、うそ……」


 本当にレクチャーするだけとか……。

 ポーションの作成能力を付与すると言っていたけど、一体それは……、自力で作れってことなのかな?




 昨日の夜に出会った時に「明日から薬の作り方を教えてやるニャ!」と、言った後、寝て起きたら朝に見かけなかったから本当かどうか気にはなっていたけど居て良かった。


「そういえば、自己紹介とかまだよね?」

「吾が輩は、大地母神メルル様から神無月朱音をサポートするために遣わされた精霊ニャ」

「大地母神メルルって、私に転生を薦めてきた?」

「そうニャ」


 ふむ……。

 そんなことをメルルさんは一言も言っていなかったけど、まあいっか。


「私の名前は、神無月朱音。今の名前はシャルロットと言うの。あなたのお名前は?」

「名前は無いニャ」

「名前が無いの?」

「名前は、ご主人様がつけることになっているニャ。吾が輩に名前をつけることで契約が出来るようになるニャ。 吾が輩と契約することで魔法もポーションも作れるようにレクチャーするニャ! さあ、吾が輩と契約して魔法と薬が作れる少女になるニャ!」

「えっと、魂とか抜かれるような契約じゃないよね?」

「そんなことないニャ」

「名前は、ポチでいい?」

「よくないニャ! どうして日本人は皆、ポチとかタマとかつけるニャ!」


 中々うるさい。

 いきなり名前をつけてくださいと言われても困る。


 

「何か、お勧めはあるの?」

「ご主人様が決めたものなら何でもいいニャ」

「何でもいいと言いつつ、文句を言うとか……」

「何か言ったニャ?」

「何でもないわ!」


 さて、どうしたものやら……。


「名前をつけないという選択肢はないの?」

「……それじゃ契約は出来ないニャ!」

「私、センスないからタマとかミケとか、そのくらいしか思いつかないよ? 何かお勧めとかないの?」

「ニャン吉ならいいニャ」

「ニャン吉ね」

「それじゃ、ニャン吉。今日からよろしくね」

「分かったニャ! それじゃ薬の作り方を教えてやるニャ。まずはすり鉢をとすりこ木を用意するニャ!」

「え? 魔法っぽい何かでササッと薬が作れるわけじゃないの?」

「人間、楽をしたら駄目になるニャ! さあ、すり鉢の使い方から教えるニャ!」

「う、うそ……」


 本当にレクチャーするだけとか……。


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