ー 猫の視点、そして観客も猫 ー


 映画が始まってすぐ、

 僕が最初に感動したのは、猫の描き方だった。


 表情だけじゃない、身のこなし、筋肉の動かし方に至るまで、

 目の前にいるのはあらゆる意味で猫だった。


 毛や柄、しっぽは全部CGなんだけど、筋肉の動きはたぶん俳優がやってる。

 だから、猫たちが出てきてからずっと、


 この動きを手に入れるのに、このひとはどれくらい猫を観察したのだろう?

 いや、観察だけじゃない、もしかしたら数日?数週間?わからないけれど、猫として生活していたに違いない!


 と、感動しまくっていた。


 次に衝撃を受けたのはカメラワークで、


 これがもう完全に猫が見てる世界だよね!


 猫の不思議な身のこなし、

 警戒しているのか、それとも好奇心ゆえなのか、人間には理解の及ばない不思議な動き方。


 それを表現しようとしたカメラワークは実に巧妙で、


 観ているひとはきっと(ほんとうは他の人たちがどうかなんて僕にはわからないのだけど)猫の世界に猫として迷い込んでしまったように感じると思う。


 ふと気づいたんだけど、

「もう猫として猫に感情移入しちゃってる!」よね。


 わたし、猫になってる!みたいな驚きがこの映画にはあった。


 猫から見た世界がスクリーンに映ってる感動は、言い表すことは難しいけど、間違いなく他にない体験だった。




 続く

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