第41話 女子会キター!
本来大広間で食べるはずだった夕食をミカの部屋で食べた3人。
仕方なかったのだ。マユリのこの格好ではいくら家の中とはいえ、あまりウロウロ出来ない。
「ごめんね。ボクのせいで・・・」
マユリは責任を感じていた。今日の夕飯は食べ放題形式で、色んな料理を並べて用意してくれていたのだ。それを台無しにしてしまった。
「いいんですよ。あたしはマユリ先輩と一緒に食べられればどこでも、どんなものでもご馳走ですから。」
「ミカちゃん・・・」
愛おしそうにミカを見つめるマユリ。ハルカはため息をつく。まあこれでマユリが恋に落ちるということは無いだろうが、ミカの好感度が急激に上がったことは確かだ。いや、勉強中のあの事があるからプラマイゼロといったところか。
「そうね。あたしも二人と落ち着いて食事したかったから逆に良かったわ。」
ハルカも笑顔でマユリに言う。
「ハルカ・・・」
ハルカのこともまた、愛おしそうにマユリは見つめた。
なるほど、こうやってこの子は図らずも女の子達を落としてきたのね。
目の前のかわいいマユリを見て痛感したハルカ。
まあそれはともかく・・・
「よし、食事も済んだし、女子会始めよっか。あたしポテチ持ってきたから、食べながらおしゃべりしましょ。」
絨毯の上に女の子座りをし、ハルカは持ってきたカバンからポテチを二つ取り出すと、袋を開ける。
「今食べ終わったばっかりじゃないですか。太りますよ?んんっ!」
つべこべ言っているミカの口にポテチを放り込むハルカ。
「美味しいでしょ🖤」
飛びっきりの笑顔で言うハルカに、思わず顔を赤らめてしまうミカ。
「・・・はい。」
素直に認めてしまう。
な、なによ・・・ハルカ先輩、かわいいじゃない。
認めたくはないが、実はハルカのことも少し気になっていたミカ。ハルカは大人びた魅力があり、容姿も四性天やミカに匹敵するものを持っていた。もし、マユリという桁外れの存在がこの世にいなければ間違いなくミカはハルカを狙っていただろう。
つまり!
今のこの状況は、ミカにとって両手に花といっても過言ではないのだ!
すでに悶々としているミカ。
「そういえばさ・・・」
そんなミカの気持ちなど露知らず、ハルカが話を切り出す。すなわち、女子会スタートだ。気付けばマユリもミカも、椅子から床に座り直していた。
「今日のサキ先生、いつもと大分違ったよね。」
サキの奇行に疑問を抱いていたハルカ。
「あれじゃまるで、マユリのことが好きで気を引きたいみたいだったよね。」
が~ん
そ、そうだったのか・・・
ミカはサキの行動を思い返してみる。
・・・・・・
確かに!
あたし、そうとは知らずにライバルを呼んじゃってたってこと?
ショックを受けてしまうミカ。
・・・今さら?
「え~。サキ先生、ボクのことが好きなの?嬉しいなぁ。大好きな先生に好かれるなんて。」
がが~ん!
ミカは更に衝撃を受ける。
そんな・・・マユリ先輩・・・
「安心しなさい。このマユリの好きは恋愛の好きではないからね。」
心配そうにしているミカの耳元で、そっと囁くハルカ。
「ハルカ先輩・・・」
ホッとするミカ。付き合いの長いハルカがそういうのなら間違いないだろう。
「好きといえば、ハルカ先輩は好きな人とか好きだった人とかいないんですか?」
実はミカ、ハルカのことをマユリの親友という以外はあまり知らなかった。
「いないいない。だって男ってさ、女のこと下に見てるやつ多いでしょ。やだよね。自分達が世の中動かしてる気になっちゃって。世界をコントロールしてるのは女の方だっての!」
・・・確かに。
男にかなりの偏見がある言い方だったが、それでもマユリとミカはウンウンと首を縦にふる。
「じゃあ・・・好きな女の人はいないんですか?」
ちょっと怖いが、一応聞いてみるミカ。
「いるよ~。マユリ~~~🖤」
マユリにじゃれつくハルカ。
ななななっ
ミカは焦った。まさかハルカがマユリを好きだったなんて。
「ちょっ、ハルカ!何ふざけてるのよ。あっ駄目・・・やめなさい!」
マユリに軽く突き飛ばされ、ハルカはそのまま床にコテンと倒されてしまった。
「はははっ。な~んてね。冗談冗談。テヘッ。」
ガバッと起き上がったハルカは舌を出し、おどけて見せた。
なんだ、冗談か・・・
でもいいなぁ~
二人の仲の良さを羨ましく思うミカ。この二人の間には、他が割ってはいれないような絆があるのだ。
「マユリはいたよね。気になってた人。」
がががが~~~ん!!!
えっえっ、なにそれ!そんな話聞いたことないよぉ!!
「いや、好きとかじゃないんだけど・・・あの人とは是非もう一度会いたいな。」
「ダメです!!」
気付けばミカは大声を上げていた。髪の毛は逆立ち、般若のような顔をしている。
「ヤダヤダヤダヤダ!!やだやだやだやだ!!」
まるで駄々っ子だ。マユリは慌ててミカを制す。
「落ち着いてミカちゃん。ほんと好きとかじゃないから。ただ、一度あの人と闘ってみたいだけだから。」
マユリは戦闘狂じみたことを言い放った。
しかしマユリが認めた人間とは、一体どんな人物なのか。訳あって多くは語れない。ただ一つ言えるのは、その人物は戦闘能力に長けただけでなく、人を守るために動く人間だということだ。
「本当ですね!恋した訳ではないんですね!ねっ!」
鼻息荒く、ミカはマユリに詰め寄る。
「ほんとほんと。」
苦笑いを浮かべながらマユリは言った。
「そうだよねぇ。マユリはあたしのかわいい子猫ちゃんだもんねぇ🖤」
「もう、やめなさいってば。」
またしてもじゃれ合う二人。こんなハルカをミカは見たことがなかった。いつもは大人っぽくて、マユリを常にサポートしている常識人のイメージが強いのだが、今目の前のこの人はどうだろう。子供っぽくて、愛嬌があって、とっても可愛らしい。
きっとハルカは、かわいい女子二人とのこの時間が楽しくて仕方ないのだ。なのでいつもよりもちょっと、いや、かなりテンションが高いのだろう。
「好きっていえば、ナツミさん。イサムのこと好きだよね。」
「それはほんと、ごめん・・・」
先程までテンションはどこへやら。心から申し訳なさそうに言うハルカ。
「えっ、何々?何ですか?」
他人の恋ばなが出てきたことに興奮するミカ。やっぱり女子だ。目がキラキラしている。
「うちのバカ姉がマユリの大事な弟くんを狙ってるって話。」
ハルカはほとほと嫌そうに言う。
「わぁ🖤それ凄いですね。もし二人がうまくいったらハルカ先輩とマユリ先輩親戚になるんじゃないですか?」
「まあそれは・・・嬉しいかも。で、でもさ・・・」
ハルカは、自分の姉とマユリの弟が付き合う姿なんて想像できなかった。いや、したくなかった。もし結婚なんていったら・・・
この後、話はナツミとイサムの話題で盛り上がり、女子会の時間はあっという間に過ぎていったのだった。
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