スキキライヤー

Prologue

Expectation is the root of all heartache.

期待は苦悩のもと。

守らないといけない

私がどんな結果になったとしても

この子たちだけは悲しんでほしくないから

あの子たちには笑顔でいてほしいから

「いや～！また武蔵君と善住君は全国大会出場か！！」

「いや！違うぜ父さん俺と善住は出場だけじゃねぇ

また優勝してくるんだ！」

「そうだね、負けるつもりはないしまたメダル持ってくるから」

二人は楽しそうにもうすぐに控えた全国大会についての話をあの人にする。何も知らない二人の笑顔に安心とともに罪悪感がわいてくる。

はたから見たらきっと幸せな風景なんだろう。

私はこれからこの子たちを裏切ることになる…

だから突き放さなきゃ…嫌われなきゃ…

「おや…？香凛ちゃんもうごちそう様かい？

いくらダイエットでも食事の抜きすぎは…」

「別にそういうことじゃない

ほっといて。あんたには関係ないことでしょ」

「おい！香凛いくらなんでもその言い方は…！」

「良いんだ武蔵君香凛ちゃんもそういうお年ごろだろう」

まるで親みたいなことを言うんだね…

本当はそうとも思っていないくせに今まで何人の子供を捨ててきたの

孤児院の院長なんて仕事してるのにそんなことできるのか、あなたの神経が信じられない。

聖人面しないでよ反吐が出る

善住「香凛ねぇ…？」