20話 俺は、スーパーセンエースだ。


 20話 俺は、スーパーセンエースだ。


「あいつ、最近、強くなりすぎて、俺が全力で次元ロックを張っても、普通に解除してくるんだよ……正直、このままいったら、普通に抜かれるんじゃないかと、ビビり散らかしているところだ」


 などと、どうでもいいことを口にしてから、

 主上様は、センに、


「そんなアダムに、マジの一発をいれるなんて、お前は本当にすごいな。ただのパチモンには絶対に無理な芸当。お前はヤバい」


 そう言ってから、

 主上様は、センの目をジっと見つめて、


「で? お前は誰だ? 名前を教えてくれよ」


 そう声をかけた。

 その問いかけに対し、センは、すぅと大きく息を吸ってから、


「センエース。どこにでもいる、いたって平凡な、当たり前すぎる『心の弱さ』を抱えている一男子高校生だ。こんにちは」


「丁寧な自己紹介、痛み入るね。こんにちは」


 と、反射的に挨拶を帰してから、

 主上様は、


「俺は究極超神の序列一位。神界の深層を統べる暴君にして、運命を調律する神威の桜華。舞い散る閃光センエース」


 と、正式な名乗りを上げてから、


「お前のようなパチモンとは格が違う本物のセンエース。ようするに、俺は、スーパーセンエースだ」


「……スーパーセンエース? なんだ、それは?」


「いちいち説明するのもめんどうだ。てめぇで勝手に想像しろ」


 様式美に興じる主上様。


 そんな彼に対し、

 センは、テンポを乱す口調で、


「スーパーセンエース、お前は、本当に、ヤバそうだな。だが、スーパーセンエースよ、お前が、どれだけ強かろうと、そう簡単には殺されてやらないぞ。おい、聞いているのか、スーパーセンエース。どうした、スーパーセンエース。返事をしろ、スーパーセンエース。スーパーセンエースさーん、もしもーし」


「うるせぇ。お前、スーパーセンエースって言いたいだけになっているじゃねぇか。つぅか、スーパーセンエースって呼ぶんじゃねぇ。かるいテンプレネタに過ぎないんだから、しつこくコスらず、サっと流しやがれ」


「無理だな。なんせ俺は『人の嫌がることを率先してやりなさい』って、親に教わって生きてきたから」


「それ、たぶん、意味が違う。お前の親は、そういうつもりで言ったんじゃないと思う」


「意味が違うもクソも、そもそも、そんな教えは受けてねぇよ。ウチの母親は、まあまあサイコだから、そういう『耳あたりがいいだけの薄っぺらな教育』はしなかった」


「奇遇だな……ウチの母親も、そういう感じだった。まあ、ウチの母親の場合、まあまあではなく、結構な勢いのサイコだったが」


「謙遜をそのまま受けとるんじゃねぇよ、スーパーセンエース。ウチの母親の『サイコっぷり』は東西南北中央不敗。ヤバみのコクが違うんだよ」


「無駄に張り合ってくんじゃねぇ。つぅか、スーパーセンエースいうな」


「ん? なにか、言ったか。スーパーセンエース。もっと大きな声で言ってくれ、スーパーセンエース。俺は、ちょっと耳が悪いんだよ、スーパーセンエース。聞こえているか、スーパーセンエース。もしもし、スーパーセンエースさん、もしもーし!」


「……うざぁ……」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る