55話 オメガセンエース。


 55話 オメガセンエース。


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 《レベル》     【1】

 《オメガレベル》  【90】


 [HP]      【3900/3900】

 [MP]      【1900/1900】

 [スタミナ]    【59/70】


 「攻撃力」       【98】

 「魔法攻撃力」     【65】

 「防御力」       【55】

 「魔法防御力」     【39】

 「敏捷性」       【78】

 「耐性値」       【20】

 「HP再生力」     【99】

 「魔力回復力」     【62】

 「スタミナ回復速度」  【18】

 「反応速度」      【?】


 「隠しパラメータ合計値」【?】


 「獲得経験値」     【0】

 「ネクストEXP」   【無限】



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 オメガ化を果たしたセンは、

 自分の両手を見つめながら、


「……引くほど、体が軽い……」


 ボソっと、


「……翼がなくても、自力で飛べそうなほど……」


 もちろん、空を飛ぶことはできない。

 あくまでも、そのぐらいの全能感に包まれているというだけのお話。


「……」


 センは、ニィと微笑んで、



「――今の俺に、勝てるヤツは一人もいねぇ」



 バリバリに調子こいていく。


 つい先ほど、『強いだけの軽さ』ではダメだ、

 と理性では理解したはずなのに、

 実際、その『軽い強さ』に包まれると、

 当たり前のように、酔ってしまう。


 命のサガ。

 人間の弱さ。


「いくぜ、トカゲ野郎」


 高揚感と全能感の中、

 センは、『良い感じに回ってきた酔っ払い』のように、


「てめぇは、もはや、俺の足元にもおよばねぇ。やはり、俺がガ〇ダムだった!」


 などと叫びながら、オメガバスタードラゴンに向かって特攻をしかける。

 これまでとは比べ物にならない瞬発力とパワー。


「――閃拳――」


 流れの中で、

 サクっと必殺技を叩き込んでいく。


 実のところ、ステータス的には、

 オメガバスタードラゴンの方が、遥かに上なのだが、

 しかし、『戦闘力』に違いがありすぎるため、



「グォオオオオッ!!!」




 苦痛に顔をゆがめるオメガバスタードラゴン。


 耐久力がハンパではないため、

 『まだまだ数値的には低火力』の『閃拳』では、

 『一撃で沈めること』は出来ない。


 オメガバスタードラゴンは、怒りでオーラを膨らませて、

 咆哮をあげながら、センに向かって飛行ダイブをかましていく。


 そのムーブに対し、センは、

 バカにする笑みを浮かべ、


「そりゃ、悪手だろ、ありんこ」


 言いながら、気を統一させて、

 向かってくるオメガバスタードラゴンの動きに合わせて、


「おらよっと」


 鮮やかに両手を合わせていく。

 膝のクッションで衝撃を散らしつつ、

 完璧な挙動で、オメガバスタードラゴンの体軸と気流をズラす。


 空気投げの要領で、ほとんど触れることなく、

 オメガバスタードラゴンを地面に向かってたたきつけていくセン。


 豪快に吐血しているオメガバスタードラゴン。

 その心臓部をめがけて、


「死んでろ、ボケが。――龍閃崩拳――」


 無慈悲に超必殺技を叩き込んでいく。



「グォオオオオオオオオオッッ!」


 断末魔が響き渡る。

 一つの命が枯れるのを右手に感じながら、

 センは、


「実感するよ……肌肉(きにく)の『メタル化』を、エネルギーの『活性化』を。爆増したミトコンドリアが、俺に、無限のATPをくれている。カルシウムイオンが叫んでいる。細胞の全てが沸騰している。命と魂魄の喝采。――俺は、強い」



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