48話 こいつこそが、ガ〇ダムだ!!


 48話 こいつこそが、ガ〇ダムだ!!


「さっさとはじめよう。君は、これから地獄を見る。君ごときでは、決して超えられない壁を思い知る。命のやり取りの中で、君の心はヘシ折れ、無様に命乞いをするだろう。しかし、私は耳を貸さない。君は、ただ、地獄のカマの底で、己の不運を叫ぶ。君は――」


「さっさとはじめようって言っておきながら、そこから先の御託が長ぇな……」


「恐ろしいのは分かるが、しかし、人の話は黙って聞き給(たま)え」


「お前、人じゃないんだろ?」


「人ではないさ」


 そう言いながら、オメガシャドーは、

 亜空間倉庫から、一枚の魔カードを取り出し、


「今から、とあるモンスターを召喚する。さあ、震えるがいい……これが……こいつこそが……ガ〇ダムだ!」


「……ガ〇ダムを召喚されたら、そりゃ、震えるが……」


 などと言っている間に、

 オメガシャドーは、魔カードを両手でビリっと破り捨てた。


 すると、

 オメガシャドーの目の前にジオメトリが出現し、

 その向こうから、


「ギギィ!」


 ちょっと色黒の『ゴブリンらしきモンスター』が出現した。

 身長は、120センチそこそこと、

 小学校低学年サイズで、ガリガリの肉体。

 モンスターっぽさ全開の『奇怪な容姿』をしているが、

 『強そう』に見えるかというと、まったくそんなことはない。


「……えっと……なんか……弱そうなんだが……」


 素直な感想を述べるセンに、

 オメガシャドーは、フっと鼻で笑い、


「ふふん、そんな愚かなことを口にしていられるのは今のうちだけだ。このオメガ火ゴブリンの強さはハンパではないぞ。そのオメガレベルは……なんと、230!! どうだ!!」


「……どうだと言われても、『知らんがな』としか答えようがないんだが……」


 軽い『呆れ』で返してから、

 センは、ぽりぽりと頭をかきつつ、


「そもそも、オメガレベルって何?」


「オメガレベルは簡単に言うと、SAN値みたいなものだ」


「……0になると発狂するのか?」


「そこがSAN値と違うところだな。違うというか、真逆だな。オメガレベルは、上がれば上がるほど、狂気度が上がっていく」


「……ということは、ステータス的には、0に近い方が『良い』ってことか?」


「オメガレベルは『レベルに補正をかける値』だ。レベル100で、オメガレベル100なら、レベル200相当の強さになる。ようは、オメガレベルの数値が高ければ高いほど、単純に強いということ。『素のステータスがまったく同じ』で『戦闘技能も同じ者』が闘った時、オメガレベルが高い方が『強い』――ということになる」


「……でも、高ければ高いほど、発狂している……と」


「そうだ。ゆえに、『オメガレベルが高い方』が『優秀か』というと、また少し話が変わってくる。『制御できない力』は迷惑な災害。もっといえば、ただの事故物件。『自身の中から湧き上がってくる狂気』と向き合うだけの底力がなければ、そこらの『壊れたモンスター』と同じで『厄介な暴走機関車』になりはてる。人を対象にした場合は『破壊衝動にかられたサイコパス』と表現するのが適切かもしれない」


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