58話 フラグの光速回収!

 58話 フラグの光速回収!


「トコてぃん、ここまで一生懸命頑張った罪華さんを褒め称えてもよろしくってよ」


「はよ撃てぇえええええ!!」


「ブラストオフだにゃぁ」


 重い引き金を引くと、周囲の大気を震わすほどの轟音、

 ――ズガンッ!!

 と豪快な音がして、






「ぐぁああああ!!」






 豪速のエネルギー弾がロイガーを襲った。

 極太の照射。

 一瞬、世界が絶望の光で包まれた。


 大気が鳴動する。

 空間が一部歪んで、バチバチと黒い電磁放射が舞う。

 キノコ雲が晴れた時、ロイガーは黒こげで地面に転がっていた。



「やったかにゃ?」


「フラグたてんな! GOOは、どいつもHPがアホみたいに多いねん! あれだけやと、どうせ、まだ死んでへん! 連射できるヤツで追撃せぇ!」


 両手に、神聖猛毒を積んだナイフを召喚して、


「ミレーは、リミッター解除の反動で、しばらく動けへん。あたしらだけでやるしかない!」


 システムは、魂魄回転率の限界値を強制的に引き上げる機能。

 その精度は使用者の覚悟で変わる。

 それを知っているトコは、必死に自分を鼓舞して、

 ハックギアシステムの効果を上げようとしている。



「全員で生き残るで! マナミ! あたしに、ありったけの強化魔法をかけぇ!! 絶対に削りきったる!!」



 トコの指示に、全員が従って行動しようとした――


 ――その寸前、ロイガーが、


「――神の慈悲――」


 そうつぶやきながら、指をパチンとならすと、

 淡い光が、ロイガーを包み込む。


 その光は、一瞬でロイガーをいやし、

 元の完全な状態へと戻してしまった。


 その光景を見て、


「「「……」」」


 神話を狩る美少女たちは、

 真っ青な顔で、固まってしまった。

 さすがに、言葉も出ない。


 ただ、こんな時でも、茶柱だけは、あくびをしている!

 流石である!

 気合いの入り方が違う!



「……ははは、いやぁ、さすがに、あそこまで防御力を落とした状態だと、それなりにダメージは受けるな……とはいえ、貴様らの攻撃ごときで、生命力を削り切られることはありえないが」



 そう言いながら、

 全身の状態を軽くチェックする。


 なんの異常もないことを確認すると、

 ニっと笑って、


「この私に、ある程度のダメージを与えた貴様らに敬意を表し、私の切り札の一つを紹介しよう」


 そう言いながら、ロイガーは、

 右手に一枚の魔カードを召喚し、

 それを見せつけながら、


「こいつは、私が死んだときに発動する自動蘇生の魔カードだ」


「……じ……どう……そ……せい……やと……」


「そう。つまり、仮に、ウッカリ死んでしまっても、サクっと蘇れるというわけだ。多少、生命エネルギーを失ってしまうが、まあ、所詮はそれだけの話。『貴様らを殺しきる』という易い役目に不備が生じる訳ではないから問題は何もない」


「……」


「さて、それでは戦いの続きといこうか。おそらく、強く賢く美しい貴様らのことだ。まだまだ、切り札はあるのだろう? さあ、次は、どんな素晴らしい攻撃を見せてくれる? ああ、楽しみだ。私は、ここから何度死にかけるのかな? くくっ、ははは!」

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