43話 ファンキーな試験内容。

 43話 ファンキーな試験内容。


「……『ゴキのアジトから金目のものを盗んでくる試験』か……ずいぶんと、ファンキーな試験だな……」


「ファンキーですむかよ。ふざけんなよ。誰がこんな試験やるんだよ」


「受けるやつがいるかどうかはともかく、一度、龍委のメンバーにロケハンをやらせるって書いてあるな……」


「狂ってんな、おい……やべぇよ、この学校。前から、色々、頭おかしいとは思っていたけど、ここにきて、アクセル全開のブーストふかしてきたな……『質量のあるキ〇ガイ』がとどまるところを知らねぇ」


「……あ、でも、一応、ゴキのメンバーには話を通すことになっているな」


「……その連絡係も『龍委にやらす』って書いてあるぞ」


「大変だな、ボーレ。殺されないように、注意していけ」


「なんで、ナチュラルに俺がやることになっている感じ?!」


「こういう、雑用は、一番の下っ端がやるもんだろ」


「――『ちょっと金目のものを盗ませていただきたいので、アジトの場所を教えていただけますか』なんて連絡を入れたら『いい度胸だ、かかってこい』ってなって、死んで、終わりだろうが! アホかぁ!」


 と、そこで、ロコが、


「忍び込むアジトの場所自体は決まっているみたいよ。学園の東、約20キロの地点にあるチャバスチャンのホームらしいわね」


「あ、この住所、ガチだねぇ。あははぁ。この学校の情報班、なかなか優秀だねぇ」


 と、そんなことをつぶやくヤマトに、

 ゲンが呆れ顔で、


「おいおい、マジでゴキにケンカ売る気かよ……」


 現状の理解に到ると、

 ボーレは、頭を抱えて、


「……『ロケハン』と『本番』で、計2回、カチコミをかけるわけか……どうやら、この学校、裏社会に全力でケンカを売る気らしい……」


「この資料を読む限り、どうやら『ゴキのメンバーに話を通す』っていうのは、『一回、ガチでカチコミをかけてみて、実際の難易度を確かめた後に、二回目のカチコミを許してもらえるように交渉する』って意味らしいな」


「……この企画を考えた大馬鹿野郎は、一回、死ぬべきだな……ちょっと、誰か、この企画の発案者を、俺の前に連れてきてくれ。みんなを代表して、熱い説教をかましてやるから」


「ルル様発案らしいぞ」


「なんて素敵な企画なんだ」


「こんなに素敵な企画の『代表(責任者)』になれるなんて、さすが、ボーレ先輩。器が違うっすね」


「いやいや、何を言っているんだ、『代表(生贄)』。これほど美しい企画の中心人物になれるのは、『ロコ様の剣』であるお前を置いて他にいないだろう」


「いやいや」


「いやいやいや」


 と、ゲンとボーレが、

 互いに、『代表(貧乏クジ)』の座を擦(なす)り付け合っている横で、

 ロコが、資料に目を通しながら、


「ロケハンには、龍委のメンバー全員で向かうこと……この任務を断ることは許されない。もし、拒絶した場合……」


 と、前提条件について音読していくと、

 ボーレが、やさぐれた顔で、


「拒絶した場合、なんすか? 退学っすか? もー、別に、それでいいっすわ、俺。退学宣言くらう前に、こっちから退学届けをたたきつけて――」


 と、投げやりな言葉を吐き捨てるが、


「――『殺す』って書いてあるわね」


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