最強の鏡。

 最強の鏡。


「俺よりも美しい光。……お前は、その一人になれる器。だから、さあ、もっと美しく輝け、バンプティ。俺を超えろ」


「……む、無茶をおっしゃる」


「俺は、『また何かやっちゃいました?』系男子じゃねぇからなぁ。ちゃんと自分の高みは理解している。俺は強い。俺は、命の限界に至った神の王。だが、俺はワガママなバカだから『今のままの俺』でいることが、どうしても許せねぇ。ここで終わりたくねぇという、キ〇ガイな願いを捨てきれねぇ」



「それが……主の『望み』……」



 バンプティは理解した。

 冗談でお茶を濁した先にある神の渇望。


「……いや、ソレは手段さ、あくまでも。『望み』は『違う枠』にある。そうじゃないと、俺はただの無機質な兵器になっちまう」


「もうしわけございません……私の頭では、正直、理解が……」


「愛のない力は虚しいっていう、単純な話さ。……こんなこと、正面から言わせんな、恥ずかしい」


 センの言葉を受けて、

 バンプティは想う。


(慈愛なき暴力は破壊しか生み出さぬ……主が目指している『先』は……いつだって……命の究極……倫理の最果て……)


「さあ、バンプティ。おかわりだ。もう一歩、先に行こう。まだいける。ガイアが、お前に『もっと輝け』とささやいている」


「ガイア……もうしわけございません。その概念を、私は存じませぬ。その摂理は、いったい――」


「ああ、いや、マジメに受け取らないで。ただのテンプレネタです……ごめんなさい」


 主の言葉は、どれもが、あまりにも深すぎて、

 バンプティでは、わずかも理解できなかった。


 だが、しかし、

 『想い』は伝わってきた。


 だから、


(私の可能性は、もう……本当の限界に達している……)


 ここまで、何度も、何度も、何度も、

 『限界』を殺してきたバンプティ。


 ありえないほどの高みまでやってきて、

 もう本当の本当の本当の目一杯まできてしまって、


 しかし、


(しかし、主が望まれているのだ……折れるわけにはいかん……)


 目の奥に炎を宿らせて、

 再度、自分の限界と向き合う。


 バンプティ中では、

 理性と悟性(ごせい)が、

 『もう無理だ』と叫んでいた。


 ――『さすがにもう勘弁してくれ』とわめいている自分自身の弱さに対し、

 バンプティは、キチ〇イ面で中指をたてて、


「それでも……」


 へし折れるほどに、奥歯をかみしめ、


「叫び続ける勇気を……」



 ――『その言葉』は呪い。

 へたり込むことを、死んでも許さない縛り。

 疲れ切って、へたり込もうとしても、

 荒々しく、首根っこを掴んできて、

 ムリヤリ、立ち上がることを強制してくるブラックな神の手。



「ぶっ壊れて、腐って、歪んで……」



 ――その代わり、その神の手は、

 倒れそうになった時、力強く、背中を支えてくれる。


 『折れない心』を保ち続ける限り、

 何よりも心強い味方でいてくれる、無上の輝き。



「それでもなくさなかった全てを……集めて……」



 いつだって、

 そのブラックな神の手は、

 『輝く明日を求める迷子』を、

 光のある方へと引っ張っていってくれた。


 例外はない。


 ――だから、




「ヒーロー見参っっ!!」




 バンプティの『鏡』が、

 一層、輝きをました。


 届いたのは、

 プライマル・プラチナスペシャル『マフツノカガミ』。


 超級の芸術が執行される。

 すべての神々の『良い所取り』をし、

 真に完成した『ぼくがかんがえたさいきょうの神』。


 センエースが積んだ全てを、

 そのまま写し取るだけでは飽き足らず、


 バンプティは、

 さらに、もっと上を目指す。

 限界を超えて、

 理屈を超えて、

 不可思議を飲み込んで、



「――裏閃流究極真奥義、

    クレヨン閃ちゃんシリーズ、

       超景戯画トリビュート、

           閃国大合戦――」



 さらに積んでいく。

 限界を殺し、

 もっと向こうへ。

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