何度でもまわせ。

 何度でもまわせ。


(……まったく表現しきれていない……神の輝きは……あの程度の文章で……すませていいものではない……美化どころか……もはや、侮蔑に等しい……足りない……まったく……)


 『この想い』を『文章で表現する事』など、

 とてもじゃないが、不可能だ――と思った。

 と、同時に、広く伝えたいという想いが募った。


 そんな中で、

 ふと、パメラノの顔が脳裏をかすめた。


(ああ……なるほど……)


 すべてが一致した。


(あなたも……このもどかしさの中で……苦しんでおられたのですね……)


 スールは、あの時のパメラノの気持ちを100%理解した。

 自分の愚かさを知った。


(申し訳ありません、パメラノ猊下……あなたを疑うべきではなかった。……主は確かに……実在した……)



 震えるほどの暖かさに包まれているスールの視線の先で、

 センエースの輝きが増していく。


 とめどなく、

 際限なく、

 大人気なく、

 暴力的に、


 ――センは言う。



「ちなみに言っておくと、今回の閃世界は、特別に、お前にとっても有利な空間にしておいた。システムの応用で、クールタイムの圧縮効果を付与してやったんだ。お前が加速するのは、俺にとって好都合だからな」



 ちなみに、その流れで、

 ちゃっかり、桜華閃世界の強度も上げておいた。


 常に、万が一に備えて準備をしておくこと。

 常に、無駄を嫌悪し、有利に対して貪欲になること。

 戦術の基礎。

 もっと言えば、

 殺し合いの基礎。


「すでに次のルーレットをまわせるはずだ。というわけで、さあ、まわせ。もっと、もっと、強くなれ」


「……」


「はやくしろ。躊躇は許さないと言ったはずだ。さっさと回せ」




「……オレに……命令するんじゃねぇっ……貴様に……言われなくともぉおおおおお!!」




 ギリっと奥歯をかみしめて、


「オレをナメた『その代償』は必ず払わせる! その驕(おご)りごと飲み込んでやる!」


 バンスールは、


「まわれ……カオスバンプティルーレットっっっ!!」


 さらなる力を求める。

 正直、心は折れていたが、

 しかし、止まるわけにはいかなかった。

 強い言葉を喚いて、

 自分を保つしかない。


 つまりは、極限状態。

 どこまで、己の中の弱さと向き合えるかという、

 むき出しの時間。


 ――バンスールは、すぅぅっと、大きく息を吸い、


「……とまれぇええええええ!!」


 叫ぶと、

 ビタッッと、惰性なく、ルーレットは停止した。

 12時の矢印が示した効果は、

 ――『ウルデバッグ・ギアスの発動』。

 とんでもない大当たり。

 なのだが、センエースの前では、酷く頼りなく思える。


 バンスールは、奥歯をかみしめて、

 心に最後のニトロをブチ込みながら、




「この戦いに勝てればそれでいい……それで、オレは終わっていい……だから……『闘神』の強さを、この手に……っっ!!」




 『命がけの覚悟』を『闘神の力』に変えるプラチナスペシャル。

 ――『ウルデバッグ・ギアス』。


 すべての力が結集し、

 バンスールの『強さ』が、本当のリミットに達した。


 ソンキーの戦闘力と、アポロギスの存在値を併せ持つ奇神。

 ここに、『対センエース最強の神』が誕生したのだ。




 ――ソンキーとセンエースとアポロギスは、

 相性でいうと、ポケ〇ン御三家のように、

 綺麗に、三すくみになっている。


 センエースはアポロギスに強く、

 アポロギスはソンキーに強く、

 ソンキーはセンエースに強い。


 実際のところは、もっともっと複雑な関係なのだが、

 きわめて単純に相性を表現するとこうなる。

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