カオスバンプティルーレット。

 カオスバンプティルーレット。



「プラチナァァァァッッッッ! 


        スペシャルッッッッッッ!!」



 バンプティが届いた世界、

 それは、


『アンラッキーニルヴァーナ』という名のプラチナスペシャル。


 バンプティルーレットを魔改造し、

 その結果によってもたらされる『他者の不吉・不運』を強化する凶悪なスペシャル。



 形状を取り戻した新たな力――『カオスバンプティルーレット』は、

 まるで暴れるように、加速する。

 ギュンギュンと、速度の際限なく、

 まわり、まわり、まわり、まわる。


 カオスバンプティルーレットは、バンプティルーレットとは違い、

 どんな目が出るか、常に完全ランダムという、

 なんとも奇妙な仕様になっている。


 また、カオスバンプティルーレットには、

 元のバンプティルーレットに設定されていた、

 『固有のマイナス要素』がなくなっている。

 かわりに五分間のクールタイムが追加された。


 まったく別モノとなった、混沌の力。

 ここから、バンプティは加速する。



「とまれぇえええええっっ!!」



 命じると、

 豪速の回転がビタッッと停止した。


 12時の地点に設置されている『矢印』が示したのは、



「っっはっははははぁあああああああ!! 大当たりだぁああ! 『カスミラー×20』の発動!!」



 『カオスミラー』は、『コピー』系魔法の最上級特殊F魔法。

 対象の『存在値』を問答無用で一時間ほどコピーするというチート。


 『カオスミラー』ならば等倍だが、

 『カオスミラー×2』ならば2倍。

 『カオスミラー×20』ならば20倍。


 ※ カオスミラーは、ランク魔法『模倣(相手のステータスをコピーする魔法)』の特殊な上位互換であるため、戦闘力のコピーは不可能。

   あくまでも、数値のコピーしかしてくれない。

   ちなみに、カオスミラーには、無数の『隠し』発動条件がある。



「20倍だ! わかるか! 冗談でもハッタリでもないぞ! 20倍だぁああ! はっはぁあああああ!!」



 と、笑っていたバンプティの全身を、

 『強烈な活力』が包み込む。


「……きたっ! きたきたきたぁあああああ!! ふくれあがっていく! 170×20という、ありえない数字がくる!!」


 沸き上がる。

 暴走する存在値。


 メーターが振り切れていく。

 信じられないほどの加速。

 常軌を逸している。


 『壁』となる『存在値999』を当たり前のように越えて、

 その次の『壁』である『存在値1500』をも悠々突破していく。


 止まらない。

 まだ止まらない。


 ケタが違う衝動。

 グングンと、とめどなく、

 魂魄が飛翔する。



「はっはぁぁああああああっっっっ!!!」



 酸素を吸い込む。

 全身が躍動する。


 バンプティは気づく。




「存在値……『3000』……カウンターストップの世界……最果て……」




 己の存在値が、

 ありえないほどの高みに至っているという事実。


「はは……ははははははは! なんという僥倖ぉおおおおおお!! まさか、これだけの力を得られるとはぁあああ! はっはぁあああああああ!! すごい、すごい、すごぃいいいいいい! 神の力だぁ! 見ろ! これが、神の力なんだぁあああ!!」


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