次のステージ。

 次のステージ。


「まさか、これだけの力を得られるとはぁあああ! はっはぁあああああああ!! すごい、すごい、すごぃいいいいいい! 神の力だぁ! 見ろ! これが、神の力なんだぁあああ!!」


 存在値3000という異常な領域。

 その高みに至ったことで、心が沸騰している。


「ふひひひぃっっ……ぐひひ……や、やった、やった、やった……たどりついた……夢見ていた世界……最果て……頂点……『時間制限あり』の『たった一時間』とはいえ……私は、今、『究極の領域』にいる!!」


 歓喜に飲み込まれる。

 愉悦がとまらない。

 己の強さに泥酔する。


「くく……あはは……ふふ……ひひい……」


 どうにか、興奮を押さえつけようとするが、

 笑いがこぼれてしかたない。


「くく……ははは……ほんとうに、すごいな……今の私は……全てを超えている……聖典に刻まれている伝説をも超えた最果て……神を超えた神をも超えた世界……『究極超神』とでもいうべき極地」


 必死に歓喜を静めようとしているが、


「ふひひひ……ひひひっ」


 すぐにムクムクと沸き上がってくる。

 自分の強さに対する酔いがさめてくれない。


 時間の経過に伴って、

 自分がたどり着いた世界を、より強く実感して、

 だからこそ、より強い歓喜に包まれる。

 胸の奥から、どんどん、愉悦が沸き上がってくる。


「ひひひひひひひひひぃ! あははははははははははは!!」


 過剰な興奮に身を任せて、

 高笑いで感情を放散するバンプティ。



 ――そんなバンプティを見て、

 少し離れた場所で見学していたスールは、


「存在値3000はさすがに盛りすぎろ。せめて、1000ぐらいにしておけば、こっちも少しはビビっただろうに。……聖典と同じだな。ハッタリをかますなら、もっと、ちゃんと、信憑性(しんぴょうせい)を考えないと」


 やれやれといった顔で、ちいさくそうつぶやいた。

 スールの目では、当然、バンプティの高みを見ることはできなかった。

 ゆえに、ただのハッタリだとしか思えない。


 ――そんなスールの視線の向こうで、

 カドヒトは、膨らんだバンプティを観察しながら、

 心の中で、


(コピー系の特殊固有F魔法か……サイコー面白いじゃねぇか。20倍コピーなんざ『全開の俺』でも出来ねぇ芸当。ありえねぇ曲芸。おまけに、999や1500の壁もシカトしているというそのバグり具合。……テメェの『異常さ』は、久々に興奮するレベルだ。俺に期待をさせるレベルといってもいい)


 そぅつぶやきつつ、

 ニィと笑う。


(どうあがいても届かなかった『次のステージ』に……もしかしたら、お前が連れていってくれるのか? 期待していいのか?)


 口元のゆるみがとまらない。

 これだけの『異常』には久しく出会っていない。


 だから、『もしかしたら』と期待してしまうのも仕方がない。

 そのぐらい、カドヒトは『次のステージ』に飢えていた。


(……止まるなよ、バンプティ……開け……そのまま、神種を芽吹かせろ。そして、ガチの究極超神の域にまでいっちまえ。とまることなく、今の俺を超えていけ。なんなら、ぶっちぎれ。……そうすれば……もしかしたら……届くかもしれない……最果ての向こう側……『究極超神化7』に……)


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