Pタイプ数真4号。

Pタイプ数真4号。


(ここは間違いなく真・第一アルファ……死ぬ直前に読んだWEB小説の舞台……これが『偶然だ』とは思えない……が、偶然ではないのなら、これはいったいどういうことなのか……小説の世界が現実化した? それとも、あの小説は、この世界を描いた? ……んー、わからん……)


 考えてみたものの、答えを得られそうにはなかったので、


(ま、別にいっか……そんな事よりも、大事なことは……)


 自分の状況に対しての考察よりも、

 ゲンには確認しておかなければいけないことがあった。


「アリアさん、スマホ買って。安いのでいいから」


 第一アルファと同じく、

 この真・第一アルファでも広く使われているデバイス。

 それがスマホ。


 電力ではなく魔力を動力としているものであり、

 第一アルファのソレとは、根本的に『質』が違うものだが、

 形状であったり、使用目的であったりなどは、だいたいかぶっている。

 通信や、情報へのアクセス、アプリケーションの使用などなど。



「二歳の子供に必要なものじゃありません。あと、お母さんと言いなさい」



 母――アリア・フォースは、そう言って取り合ってくれなかったが、


「いいじゃないか。ハイテク機器には、小さいころから触れておいた方がいい。悪影響な部分はブロックも可能なのだから」


 父――ソウル・フォースは、そう言って、

 あっさりと、買い与えてくれた。


「さんきゅー、ソウルさん」


「使い方を間違えないように。あと、お父さんと言いなさい」


 スマホを手に入れたゲンは、

 さっそく、裏技を試そうと、

 スタートメニューからコマンドプロンプトを起動させる。

 真っ黒な画面になったのを確認すると、

 ゲンは、


(確か……『P.type‐数真‐ナンバー4』……だったよな……)


 WEB小説で得た知識を実践しようと、

 スマホに秘密のコードを打ち込んでいく。


(……さぁて、本当にできるかなぁ……『実行』!!)




『――Pタイプ数真4号を起動します――』




 簡易なメッセージがスマホの画面に表示されたかと思った直後、

 スマホに、とあるアプリが勝手にダウンロードされ、

 かつ、勝手に起動した。


(……ぉお……マジで使えるのか……Pタイプ数真4号……)


 軽く感動しつつ、


(くくく……これで、俺は無敵だ……ほかの連中は、努力をしても、それが実を結ぶかどうかわからない中でもがかないといけないが……俺は、努力ポイントさえ溜めてしまえば、あとは、好きに自分をカスタムできる。このアドバンテージはでかすぎる!)


 ――たとえば、魔法。

 取得できる魔法は生まれつき決まっているのが基本だが、

 ゲンの場合は、努力ポイントを振り分けさえすれば、いくらでも自由に会得できる。


 ――例えば、基礎ステータス。

 普通、

 『攻撃力を上げよう』と思えば『腕立て』、

 『スタミナを上げよう』と思えば『ランニング』、

 といった感じに、特化した訓練が必要となるが、

 ゲンの場合、とにかく『努力ポイント』を溜めて、

 振り分けさえすれば、どの能力であれ無限に上昇させることができる。


 ――例えば、レベル。

 普通、レベルを上げるには『魂魄の回収』が不可欠になるが、

 Pタイプ数真4号があれば、努力ポイントを振るだけでもレベルを上げることが可能。


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