ゲスなビジネス。
ゲスなビジネス。
「三下の犯罪組織ふぜいが、栄えあるゼノリカと対等に契約を結ぼうだなんて、はっ、ちゃんちゃらおかしくって笑っちゃうね」
「……言葉が過ぎないか? まさか、シロアリと完全院の関係を知らないわけではないだろう?」
ゴミスは『盲目なハリボテの常識』などかなぐりすてて、
「もう、探り合いはウンザリだ。本当に、腹を割って話をしよう。これから俺は、完全院の構成員として話を進める。お前の所属はどこだ? 全宮か? それとも罪帝か?」
この世界には、色々な組織や派閥が存在しているが、結局のところ、裏には五大家がいる。
血で血を洗う対立やいがみ合いも多々あるが、
しかし、結局のところ、大概が五大家の自作自演。
数年に一度のペースで巻き起こる『数十万という規模で人が死ぬ戦争』も、
実は、五大家が利益をえるためのビジネスの一つでしかない。
なくなりきらない飢餓も、歪な貧困も、たまに流行する妙な病気も、
実のところは、すべて、五大家のビジネス。
『特定の層』が『命の全て』を『管理する』というゲスなビジネス。
「僕は栄えあるゼノリカの天下に属する剣。すべての闇を裂く刃。この世で最も尊き輝き。ゼノリカは、全ての絶望を照らした理想の具現。五大家などという程度の低いブラック企業とは比べものにならない神の後光」
「……まさか、お前……本当にイカれているのか?」
ゴミスは不安になってきた。
別に『五大家の悪口を言われたから』と言って怒ったりはしない。
五大家の実情がシャレにならないレベルでクソなのは事実。
ゴミスも、五大家の本質にあるクソっぷりには何度か顔をしかめたことがある。
だから、五大家を嫌う気持ちはよくわかる。
『そこまで』なら理解できる。
しかし、目の前にいる男の発言には、
そういう、当たり前にある『五大家への不満』などではなく、
なんというか、
『どうあがいても理解できそうにない狂気』がにじんでいるように思えてならなかった。
――アモンは、
「イカれているのは、ゼノリカに属さない全てだよ。僕らだけがまともで、他のすべてが狂っている。それが世界の真理さ」
アモンは、基本的に『自分の出世』を第一に考えている。
自分が神族になること。
自分の才覚を正式に認めさせること。
それが第一。
なぜならば、その思考ベクトルが許される時代に生まれたから。
アモンがクソなのではなく、単に、アモンが『絶望を知らない世代の人間だから』――それだけの話。
――アモンの『欲望』の第一位は、間違いなく『出世』、
だが、しかし、それだけが『全て』という『程度の低いガキ』ではない。
ゼノリカの価値は理解できている。
ドナのように『ゼノリカという組織に全てをささげているヤンデレ』――というわけではないにしても『ゼノリカという組織が美しい』という認識はある。
ゼノリカの在り方・理念に対しては心から賛同しているし、ゼノリカの全てを守っていきたいとも思っている。
――アモンは、
ゆったりと、武を構えなおして、
「見せてあげるよ……本物の光」
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