圧倒的スペック。

圧倒的スペック。


「……バロールも決して悪くないが……しかし、貴様の方がアリだな……うーむ……迷ってしまうな……『こいつ(ジャミ)』の方に乗り換えるか……いや、しかし、バロールを失いたくはない……バロールも非常にレアな器……『こいつ』が本当に神の種を持っているか、現時点では不明というのも、少し怖い……うーむ……うむむ……」


 数秒だけ悩むと、


「よし、決めた。バロールは器のままにして、貴様は私の配下にしよう。非常に優秀なコマになってくれそうだ」


 などとナメたことをつぶやいた直後、

 また瞬間移動で空間を翔ける。


 ジャミは、瞬間移動とフェイントを絡めたバックステップで『的』を絞らせないようなムーブを心掛けるが、しかし、シアエガは、そんなジャミの上をいった。


「遅くはないが、私から逃げきれる速度ではないな!」


 素晴らしい速度で距離をつめ、

 膨大なオーラと魔力で空間を制圧してくる。


 虹色のオーラに包まれてからというもの、キレッキレなシアエガ。

 さすがのジャミも動揺を隠せない。


 『ジャミほどの超越者を圧倒できている』――そのコトに気をよくしたシアエガは、

 ニィっと微笑み、


「これが! 私だ! コスモゾーン・レリック『シアエガ』の真の力ぁああああ! アウターゴッドに届きうる真なる高みぃいいい!」


 豪速で、剛腕。

 さらにキレを増していく『驚異のムーブ』でジャミを削っていくシアエガ。


「……ちぃっ……速いな……鬱陶しい……」


 すさまじい速度におされて、

 ジャミも、ついに




「――ジェノサイドタイム!!」




 切り札を御披露目。

 全力で戦う時の必殺スタイル。


 バロールの『星典黒猿』以上のスペックアップ率を誇る変身技『ジェノサイドタイム』を使って対峙する――が、


「オーラが膨らんだな! すべてにおいて、バロールを上回っているか! 素晴らしい! しかし、届いていないぞ! ははは! どうした! 私に勝ちたかったら、もう一段階のギアアップが必要だぞ! ないのか?! もうないのか?! だったら、死ぬしかないぞぉおお!」


 強大な力と速度で、

 ジェノ・ジャミを追い詰めていくシアエガ。


 サトロワスとカティの遠隔攻撃をモノともせず、

 ドナの支援でも、確定の有利を回せなくなってきた。


 この場にいる九華全員で、

 最善を尽くしてシアエガに挑むが、


「むだむだむだむだむだむだむだむだむだぁ!!」


 強大に膨れ上がったシアエガの前では、

 最善も悪手も同じだった。



 ――そんな『最強状態のシアエガ』の『強さ』を受けて、

 ジャミが、


(ジェノサイドタイムを使っても届かないか……なるほど、これが、コスモゾーン・レリックとやらの『本質』……悪くはない……)


 『見』と『堅』に徹していると、

 同時に、カティが


(いまだ、戦闘力はたいしたことないけど、アイテムとしての性能は破格と言っていい……何よりのポイントは、あの『オーラを増幅させている』と思しき『虹色のオーラ』……すごく異質……ただ増幅させているだけって感じじゃない……グっと深くなっている……キレがよくなっているっていうか、コクが増しているというか……)


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