ハッタリ。
ハッタリ。
「ぐぬううっっ! ごはっ! がはっ! ば、バカなぁああ! な、なんだ! その強大な魔力っっっ!!」
シアエガは吐血しながら(正確には、シアエガに乗っ取られているガタラが吐血した)、
「し、信じられん……『完全院リライト』クラスじゃないか……本当に、信じがたい……異世界の者が、これだけの力を……おい、答えろ。貴様は異世界人だろう?」
「貴様の命令を聞く理由はないが……まあ、いいさ。答えてやる。お察しの通り、私はこの世界の者ではない」
「だろうな! もし、突然変異で『それだけの力を持った者』が『この世界で生まれていた』なら、確定で、コスモゾーン・レリックの干渉を受ける! 生まれた瞬間から、完全院か全宮に回収され、強制的に類縁にされているはずだ! よって、貴様は確定で、異世界よりの漂流者!」
シアエガは、困惑をのみこみ、頭をぐるぐるとまわしながら、
「しかし、それならばそれで、おかしい! この『真・第一アルファ』は最強の世界! この世界に存在する者こそがスペック的には最強! それは絶対! 確定の真理! なのに……なぜだ……なぜ、異世界の存在が……最強世界で最強の存在たる『完全院リライト』にも匹敵する力をもっている……ありえない……」
その発言を受けて、
バロールは、
(この世界最強が完全院リライトで、そいつの実力は私クラス。脅威となるのは、ウムルとかいうキ〇ガイ一匹だけ。……もし『ここまでに得た情報』で『この世界の底』が確定なら……正直、ゼノリカの敵ではないな)
丁寧かつ地道な情報収集の結果、
――この世界には『ウムルと同等のバケモノ』が何体かいる――
という『ウムルの証言』は、ただのハッタリである可能性が濃くなってきた。
(もし、ウムルの証言がただのハッタリで、主がウムルを処理してくださったら、あとは、三至の方々が出るだけでも、ゼノリカの損害をゼロにおさえつつ完全制圧できる)
別に自分を卑下する気はないが、
事実、三至の強さは格が違う。
ゼノリカには、まだ、その上に『アダム』と『シューリ』がいる。
絶対的な力を持った別次元の女神たち。
そして、その上には『アダムとシューリも含めたゼノリカの全員』が束になっても絶対に敵わない『最果ての御方』が存在している。
ゼノリカの層は厚い。
「ぐぅう……いぃい……ふぅ……ふぅ……」
回復魔法を駆使することで、
シアエガは、どうにか、損傷した腹部を完全回復させる。
傷はふさがったが、
魔力と体力はだいぶ消耗してしまった。
シアエガは、
キっとバロールをにらみつけ、
「お……驚いたぞ。強大な威力の異次元砲だった。貴様は強い。間違いなく、ただのカスではない……が……そう……ありえない」
「はぁ? ありえない? なにが?」
「先ほどの一手が貴様の『実力』という事はありえない。異世界の存在が、そこまでの高みに至っているわけがない。それは『世界の道理・秩序』に合わない」
シアエガは、自分の中の常識と身に起こっている現実を照らし合わせながら、
冷静に、おだやかに、
「だから、おそらくは……そう……『切り札』だったのだろう? 先の異次元砲は、貴様が誇る最強の一手。長期にわたる『タメ』を必要とする究極の一手。そうだろう?」
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