本当の神を知る者たち。

本当の神を知る者たち。


「面白い状況じゃないか、ガタラ。私に『コトの責任』を押し付けようとした『その性根』の部分に関しては不愉快と言わざるをえないが……許そう。これだけ高水準な魂魄を支配できる機会を得た事……間違いなく幸運。非常に喜ばしい」


 恍惚の表情で、そう言ってから、

 バロールたちに対し、


「己が幸運に感謝せよ。誇るがいい。貴様らは私に選ばれた。私に忠誠を誓い、永遠の道具となる権利を与える。さあ、服従の意を示せ」


 シアエガの『ナメた発言』を耳にしたバロールは、

 ボキっと指の関節を鳴らして、


「たかが一アイテムの分際で、私たち五人を相手に、ずいぶんとふざけた口をきくじゃないか」


「たかが? 分際? 私は『この世界の神』――『コスモゾーン・レリック』の一柱だぞ。敬意を払え。尊敬しろ。そして、神である私に選ばれた事に誇りを抱け。それが貴様ら下等生物のせめてもの役目」


「尊敬……誇り……ねぇ……」


 そこで、バロールは、心底呆れかえったという顔で、


「やれやれ、Cレリックなどという御大層な名前だから『いったいどれだけ優れたアイテムなのだろう。きっとすごいんだろうなぁ』と期待に胸を膨らませていたんだが……なんてことない『ただのガラクタ』じゃねぇか。インテリジェンスアイテムだから、多少の希少価値があるのは事実だが……ふん、期待外れもいいところ」


「なんだと……貴様――」


「俺たちはすでに選ばれている。もったいなくも、我々は、最果ての御方に愛されている。私たちの忠誠心を揺るがすことは不可能。神帝陛下以上の『主』はこの世に存在しない」


 そこで、

 後方にいるジャミが、


「この世界には、もしかしたら、神帝陛下よりも強いバケモノが存在するかもしれない。この世界には、その『悪夢』を想像させるだけの不気味さがある。だからこそ、我々は慎重に事を運んでいる。――その事実を踏まえた上で言おう。たとえ、神帝陛下より強いバケモノが存在していたとしても、そんなことで我々の忠誠心が揺らぐことはない」


 カティが、続けて、


「少なくとも、あんた程度は比較対象にもならない。主の光は暖かくて大きい。この先、どれだけ強大なバケモノが目の前に立ちはだかろうと、私たちの前頭葉がどれだけバグろうと、私たちが主を裏切ることはありえない。もう、私たちの魂魄には『主の光』が刻み込まれているから」


 と、そこで、シアエガが、

 怒りのこもった声で、


「――狂ったバカども……どうやら、どいつもこいつも、イカれているらしい。なんの洗脳を受けているのか知らんが……まあいい。そのワケの分からん勘違いを殺してやろう。それを可能とするのが神。――本当の『神』の姿を見るがいい」


 そう言うと、

 シアエガは、オーラを膨らませた。

 魔力がグングンと上がっていき、

 ついには、


「さあ、とくとみるがいい。この『力』こそが神……この魔力、このオーラ、この概念こそが神なのだ……貴様ら下等生物は、神の力に酔っていればいい。世界とはそういうもの。それが真理」



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