限定条件。

限定条件。


(……こいつらは、異世界からやってきた侵略者で、現状は、アンダーワールドから情報を収集している段階……みたいな?)


 などと、みょうちきりんなことを考えてから、


(……アホくさ。異世界なんてあるワケないだろ。ちゃんと考えろよ。空想に逃げている場合じゃねぇだろ)


 自分を叱責する。


 ――と、

 そこで、バロールが、


「強者に関してはもういい。次に進もう。『コスモゾーン・レリック(Cレリック)』について、お前が知っていることを全て言え」


「それだって、新聞に載っているような事しかしらねぇよ」


 と前を置いてから、

 また色々と思案しつつ、

 言葉を選びながら、


「……究極のアイテムだってこと以外はほとんど知らん。基本的には、五大グループが管理している。個人で持っているヤツもいるって噂だが、本当かどうか知らん。あ、ウチの代表はもっているらしいぜ。ほんとかどうか知らんけど」


「シロアリが所有しているという情報ならつかんでいる」


「あ、そうなの? マジで、ずいぶんな博識さんだな。お前が俺に聞くことなんて何もないんじゃね? というわけでそろそろ解放して――」


「何か一つでもいいから、どんな効果があるか、聞いたことがないか?」


 そこで、ガタラは『バロールの目の圧』が変わったのを感じた。


(雰囲気が変わった……後ろにいる連中も……)


 バロールだけではなく、

 周囲にいる者たちからも、ピリついた空気を感じる。


 ガタラは、ゴクっと、一度、ツバをのむ。

 自分を鎮めるように、スゥっと息を吸ってから、


「……俺が知っているのは代表に教えてもらった『存在値がすさまじく上昇する』ってシンプルなやつぐらいだ」


 これまで以上に、慎重に言葉を選びながら、


「使用するための限定条件が面倒だが、そのぶん、効果はハンパないCレリック」


「Cレリックを使用するためには『面倒な限定条件を満たす必要がある』というのは聞いている。ただ、具体的に、どんな条件が必要となるかは、まだ知らない。そこのところを教えろ」


 その問いに対し、ガタラは、


(……この猿顔の発言……どこまでが嘘で、どこまでが本当か……全部があやふやで、さっぱり要領をえねぇ……ここまでの対話で分かったことは、何もかもが珍妙ってことだけ……現状、この猿顔の立ち位置すら不明瞭……この状況での『盲目な従順』は、どう考えても悪手……となれば、もう選択肢は一つ……)


 と、思案してから、

 さらに言葉を厳選しつつ、


「代表に教えてもらった『強くなれるCレリック』を扱うための条件は複数ある。例えば、戦闘技術が低い者は使えない。その辺を歩いている女・子供じゃ使えねぇってこった。あと強すぎると『飲まれる』から使えない。『飲まれる』ってのがどういうコトかはよく分からねぇが、とにかく、そう聞いている」


「……『戦闘力が特定範囲内の者』しか使えない……なるほど、面倒だな。それ以外の条件は?」


「あとは『使うと決めてから、数分が経過しないと使えない』って条件がある。つまり、急なピンチには対応できないってわけだ。Cレリックに飲まれてしまえば、あとは自由自在らしいが……まあ、その辺の意味はイマイチわからん」


「……ほう」


「あと、強者が使う場合は例外なんだが、それほど強くない者が使用する場合、『複数の条件を満たす必要がある』ってことを、『敵』が知っていなければならない」


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