五大家の類縁。

五大家の類縁。


(この猿顔は、おそらく五大家の類縁……『五大家に関わる者』が相手となれば、俺の力じゃ、どうしようもねぇ……)


 この世界の完全なる支配者。

 それが五大家。


 ――この世界は、エリアA~エリアEの五つに分けられている。

 それぞれのエリアを統括している五つのコンチェルン。

 産業・金融・軍事、そして、だから、当然、政治の核も担っている、一つなぎの超巨大財閥。

 それが、


 『完全院(かんぜんいん)』

 『全宮(すべてのみや)』

 『罪帝(つみかど)』

 『宝極(ほうごく)』

 『久剣(くつるぎ)』


 この五大家。


 ――それらの家系に連なる者。

 あるいは、それらの家系の配下。

 どちらも選ばれし雲の上。

 枠外の存在。


 あえてたとえるならば、五大家は、

 『真・第一アルファ』の『ゼノリカ』。


(なぜ、五大家がシロアリにちょっかいをかける? ……代表と何かトラブった? いや、代表がそんなミスをするとは思えねぇ……となると、下の連中が何かやらかした? いやいや、だとしても、代表がキッチリと話をつけるはず。俺たちシロアリは必要悪……『不満』の掃きだめ……『反社』の受け皿……五大家は俺たちの解体をのぞまねぇ)


 五大家がその気になれば、犯罪者組織を一掃することは難しくない。

 だが、シロアリもゴキもつぶされてはいない。

 その理由は明確で単純。


 『反社』をうたってはいるが、結局のところ、

 ゴキもシロアリも、五大家の『犬』でしかないから。


 ぶっちゃけてしまえば、ズブズブの関係。

 上層部の中でも『わずかな者』しか知らないことだが、

 実は、

 シロアリ代表の『ゴミス』も、

 ゴキのリーダー『ザコー』も、

 完全なる『五大家の類縁』である。


 トップが『スパイ』という、なんともマヌケな話。


 この世界のすべてが、五大家に支配されている。

 その証拠が、『彼ら』と言っても過言ではない。


 裏も表も、

 すべては五大家の支配下。


 それがこの世界、

 真・第一アルファ。


 ――ゆえに、


(……わからねぇ……何がどうなってんのかわからねぇ……)


 困惑する。

 ガタラは知っているから。


 最高位裏組織の幹部であるガタラは、

 そこらの無知な一般人とは違い、

 『世界の構造』を把握している。


 シロアリが、五大家とマジゲンカをすることはありえない。

 代表のゴミスは恐ろしく強いが、

 五大家には、そんなゴミスと同等かそれ以上の連中がゴロゴロしている。

 シロアリは、巨大組織で、強者もたくさん在籍しているが、

 なにがどう転ぼうと、五大家には100%勝てない。

 質と量が違いすぎる。

 マジでやりあえば、一瞬でつぶされる。


 だから、ガチンコで戦争する絶望は絶対にありえない。

 しかし、現状、ガタラは、五大家の人間から敵意満々のチョッカイをかけられている。


(情報が足りねぇ……この状況で100%の真実をつかむことは不可能……となると……)


 必死に考えるが、

 こんな状況では、当然『本当の答え』は出ない。

 よって、


(選択肢は二つある。おとなしく従うか、精いっぱい抗うか……)


 ヒリヒリの二択になる。

 運否天賦の完全フィフティフィフティ。

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