十八番。

十八番。


「俺をナメてくる相手が一番殺しやすい」


「どぶぐぉおおおおっっ!」


 踏み込んだP型センキー・ゼロオーダーのみぞおちに、

 クスオのカウンターがぶちこまれた。


(ぐぅう……なんだ?! なにが起きた?!)


 激痛の中で、状況を整理しようとしているP型センキー・ゼロオーダー。

 その高い戦闘思考力で、すぐさま、


(こっちの攻撃を無効化されたとしか思えない……となると、おそらく旧剣翼システムの『DSN』か……まさか下位互換性を無視した『この世界』で、旧OSを使ってくるとは思わなかった……やられたな)


 距離をとりながら、

 自分の状況を確認しつつ、


(旧システムがメインビルドとなると、対策が少し変わってくる……)


 高速で頭を切り替えていく。

 『VSクスオ』の対処プランがガラっと変更される。

 その一瞬のスキをつかれる形で、


「ここまでの流れ、全部俺の思惑通りなんだが、できれば、俺のことは、そのまま『楽に勝てる相手だ』とナメていてくれるとありがたい」


 言いながら、クスオは、渾身の一手を放った。


 すべては、細かい策略の積み重ね。

 言動・行動、すべてがワナ。

 つまりは『最善の一手』の追及。


「アンリミテッド・マキシマイズ・カオスインフィニッター×200。……できれば、これで死んでくれ」


 旧システムによって魔改造されたフルパレードゼタキャノン――『アンリミテッド・マキシマイズ・カオスインフィニッター』。

 混沌属性を限界以上に高めたうえで、

 かつ、照射の威力も極限まで強化した、一点突破型の超ロマン砲。


 それを、火力特化型のドラゴンホーク部隊に、ビルドの段階で鬼積みした状態で所持させて、かつ、支援部隊にこれでもかとバフを積み、事前に、P型センキー・ゼロオーダーに対して、ブレイク・カオスダイナミクスで、混沌属性への耐性を削りきっておくことも忘れない。


 まるで、

 RPG系ユーチューブにおける『理論上の最大値を出してみた』的な勢いの、ハンパではない対面作り。


 『クスオとのタイマン』がしんどすぎるため、『派手な回避』は出来ない状態にあるP型センキー・ゼロオーダー。


 状況が完成していく。

 場の熱が膨らんでいく。


「さてと、マジで死んでくれると、ありがたいんだが……」


 などと、クスオがつぶやいた直後に、

 カオスインフィニッターのタメが終了。


 ――ブラスト・オフ――


 クスオからの命令を心で感じとった瞬間、

 一斉に、コンマ一秒の狂いもなく、

 200を超えるアンリミテッド・マキシマイズ・カオスインフィニッターが火を噴いた。


 咆哮の嵐。

 豪音で世界が削られた。


 この丁寧に前提を積まれた集中砲火はよけられない。

 ガッツリと、クリティカルで全照射が命中。


「ぎぃいあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっ!!」


 狂気のエネルギーにさらされて、

 P型センキー・ゼロオーダーを構成している粒子が、ホロホロと解けていく。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る