ラージャン・エグゾギア‐システム。
ラージャン・エグゾギア‐システム。
「――ぎぃいああああああああああっっっっっ!!」
狂気のエネルギーにさらされて、
P型センキー・ゼロオーダーを構成している粒子が、ホロホロと解けていく。
「う……うぐぐぐぐぐっ! ぐぅううあああああ!!」
自動回復が追い付かない。
どんどん外殻が削られていく。
(やばい……死ぬ……っっ……ちっ……しゃーねぇ……)
『このままでは死ぬ』と理解したP型センキー・ゼロオーダーは、
仕方なく、切り札の一つを切る。
「――ラージャン・エグゾギア‐システム、起動!!」
宣言した瞬間、
P型センキー・ゼロオーダーの肉体が、
『凶悪な野獣』を模した『狂神回路外骨格』に包まれた。
――と、同時に、
狂神回路外骨格は、
マキシマイズ・カオスインフィニッターのイカれた暴力にさらされて、
ギギギギギッッ、バチィッ、グチィッ、ボゴォッ!!
と、痛々しい音だけを残して、
5秒と持たずに消滅してしまった。
――しかし、それでよかった。
5秒と持たなかったが、
3秒くらいは持ってくれたから。
だから、
「……はぁ……はぁ……くそったれ……『とっておきの切り札』を『ばけのかわ』みたいな使い方しちまったな……」
P1の戦闘データに含まれていた『戦闘記憶』
――その中に紛れていた『戦術』関連の記録。
それは、将棋や囲碁なんかの格式高いテーブルゲームだけではなく、
ポ〇モンなんかの、いわゆるサブカルEゲームの知識もあった。
『戦術(敵を殺すための戦闘思考力)』という概念を理解する上で、
将棋やポケ〇ンは非常に便利なツール。
P型センキー・ゼロオーダーは、ポ〇モンの面白さ・楽しさは一ミリも知らない。
ピカ〇ュウとサ〇シの友情、イ〇ブイの可愛さ、ミュ〇ツーの憤り、
そんなものには一切、興味がない。
しかし『勝ち方』だけは、廃人なみに熟知している。
どの技や特性がどのように強く、どのように運用すれば、相手を倒せるか。
それだけは知っている。
P型センキー・ゼロオーダーとは、そういう歪な存在である。
「ラージャン・エグゾギアは、決して防御ビルドではない。ガチンコの殴り合いでこそ輝く超脳筋仕様……できれば、ラージャンの『凶悪な火力』を披露したかったんだが……」
ブツブツとそうつぶやいてから、
P型センキー・ゼロオーダーは、
「まあ、いいか。俺の『こうしたい、ああしたい』なんて、どうでもいい。そんなことより……」
そこで、ギロっと、クスオをにらみつけ、
「さあ、お前は、すでに使い切った。また同じ火力を出すために必要なリキャストタイムは……およそ二時間。違うか?」
「まあ、そんなところだな。クールタイムを短くする方法を限界まで駆使しまくったとしても、再装填まで1時間はかかるだろう。希少な消費アイテムなんかを湯水のごとく投入したとしても……さすがに30分は切らない」
「つまり、俺の勝ち筋は、30分以内に、お前を殺しきること。お前さえ死ねば天使軍は烏合の衆になりはてる」
「烏合の衆にはならないが……まあ、大きく戦力ダウンするのは事実」
「30分以内なら、確実に殺せる。絶対に持たない。くく……絶望的だな。焦るだろ? ん?」
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