整えていく、P型センキー・ゼロオーダー。

整えていく、P型センキー・ゼロオーダー。


「お前は、しょせん、『影』と『妄想』の雑種。最強を名乗る価値はない」


 そう言い捨ててから、

 ゴートは、P型センキー・ゼロオーダーの背後を取り、

 右腕を切り落とそうと、手刀を振り下ろした――

 と、ぴったり同じタイミングで、

 P型センキー・ゼロオーダーが、シュンッと姿を消した。


 P型センエース3号だった時とはくらべものにならない俊敏性と反応速度。


 逆に、ゴートの背後へと回ったP型センキー・ゼロオーダーは、

 右手に魔力を集中させて、

 ゴートの首を取ろうと『踏み込んだ一手』を放とうとした――


 ――けれど、



「存在値10兆前後ってところか……いきなり、一兆倍も強くなるとは恐れいったけど、まさか、その程度で俺に勝てるとは思っていないよな?」



 特に焦った様子もなく、

 ゴートは、穏やかな態度で、

 パチンッ、と指で、澄んだ音を鳴らした。


 すると、P型センキー・ゼロオーダーの右腕がズガンと爆発した。


「っ?!」


 前触れもなく、急に腕をなくしてしまったP型センキー・ゼロオーダー。

 彼の困惑している顔をチラ見してから、


「そんなに驚くほどのことじゃない。お前が『まだP型センエース3号だった時』に『仕掛けていた』ってだけのこと。他にもいくつか仕掛けてはいるぞ。お前が『今』みたいな『超変身』をする可能性を危惧していたから」


「……」


「想定通りに、ちょこっと強くなってくれて、むしろホっとしている。これなら、ただの『闘い』だ。余計なことを考えずに、ただただ純粋に、数値で圧倒させてもらう。今のお前が相手なら、多少無茶をしても、そう簡単に『殺してしまう』ってこともないだろう」


 ニっと笑いながら、

 より魔力とオーラを高めていき、


「確か、決闘がお望みなんだよな。やってやるよ。俺の高みを見せてやる。最初にちゃんと言っておくが、俺は……強いぞ。おそらく、世界で一番。なんせ、本物のセンエースになる男だからな」


 そう言ってから、ゴートは踏み込んだ。

 より速く、より強く、


「ぐっ!」


 P型センキー・ゼロオーダーは、昂っているゴートの猛攻を前に、ただただ防戦一方で、


「まだ、とっておきがあるか? あるなら、さっさと出せよ。今のお前じゃあ、俺の相手にはならないぞ」


 ゴートの煽りを受けて、

 P型センキー・ゼロオーダーは、ギリっと奥歯をかみしめてから、


「うぉおおおおおお!!」


 全身のオーラをフル稼働させ、

 バチバチと全身に黒い電流を走らせながら、


「――アドミラ・ソウ・シュプレヒコール――」


 そう呟いてから、




「――ヒーロー見参っっ!!」




 大声で、そう叫ぶと、


 『P型センキー・ゼロオーダーに内包されているオーラの総量』が、

 ケタ違いに、ドグワァァッッと、爆発的に上昇した。


 無敵のコールによる、強制覚醒。

 P型センキー・ゼロオーダーが整っていく。


 さらに、P型センキー・ゼロオーダーは、その爆発的なオーラを、

 驚異的な集中力で、


「――はっ、はっ、はっ、はっ、はっ」


 グングンと練り上げていく。


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