俺はP型センエース3号でも、ソンキー・シャドー(マニアクス)でもない。

俺はP型センエース3号でも、ソンキー・シャドー(マニアクス)でもない。


「俺は、俺は、俺は、俺は、俺は――」


 交感神経バキバキの散瞳しっぱなしなラリった目で、ここではないどこかを見つめながら、ブツブツと、中身のない言葉を並べ続けるP型センエース3号。


 そんなP型センエース3号を見て、

 ゴートは、天を仰ぎ、


「あーあ、壊れちゃった……最初から壊れていたようなモノだったけど、ついには本格的に壊れちゃったよ……」


 また深いタメ息をつきながら、頭を抱えて、


「最悪だよ、マジで……『壊れきったキ〇ガイ』を相手に『敗北を認めさせろ』って、普通にガチガチのムリゲーじゃねぇか……ムリゲーっていうか、クソゲーだよ、こんなもん……マジでどうしろってんだ……」


 ゴートが頭を抱えて嘆いていると、

 ふいに、



「……俺はP型センエース3号じゃない……」



 スっと、落ち着きのある声で、

 そんなことを言い出した。


 そんなP型センエース3号に、

 ゴートは、何度目かわからないタメ息をつきながら、


「あ、そう……じゃあ、誰? G型センエース6号か? X型センエース7号か? あるいは、そもそもセンエースじゃなくて、P型タナカトウシ3号とか? なんでもいいけど、いい加減、そろそろ、問題を解決するための建設的な――」


「ソンキー・シャドー(マニアクス)でもない」


「っ……ソンキー……?」


 『会話になっていない』という点は、もはや諦めた、

 ――というわけでもないが、しかし、

 『知っている名前』が出てきたことで、ゴートの耳がピクっと動いた。


 ゴートが召喚できる中でも特に際立って最強の存在『ソンキー・シャドー』。

 ただのシャドーでありながら、とんでもない力を持つ謎の闘神。


「俺はP型センエース3号でも、ソンキー・シャドー(マニアクス)でもない。俺は……貴様を倒す者だ……」


 そうつぶやくと、

 P型センエース3号は、

 右手の手のひらを自分の心臓に向けて、


「――スピリット・ファンクション、強制執行!!」


 宣言すると、

 その瞬間、

 P型センエース3号の姿がカっと光った。


 強く、荘厳な光。

 禁忌の輝き。

 掟破りの切り札。


 光が収束した時、

 そこには、

 先ほどまではくらべものにならない、

 厳格なオーラを放つ青年が立っていた。








「俺は……『P型センキー・ゼロオーダー』……絶対最強無敵の神」








 名乗りを受けて、

 ゴートは、


「……まあ、確かに……」


 心を整えるように、

 ゆっくりとしたテンポで、


「……『シャドー』でも『偶像』でもない『本物』のソンキーとセンエース……そんなヤベェ二柱が合体したら、そりゃ、絶対に無敵で最強だろうぜ」


 そう言ってから、

 グンと、気合を入れて、全身に魔力とオーラを供給させ、


「しかし、お前は、しょせん、『影』と『妄想』の雑種。最強を名乗る価値はない」


 そう言い捨ててから、

 ゴートは、P型センキー・ゼロオーダーの背後を取り、

 右腕を切り落とそうと、手刀を振り下ろした――

 と、ぴったり同じタイミングで、

 P型センキー・ゼロオーダーが、シュンッと姿を消した。


 P型センエース3号だった時とはくらべものにならない俊敏性と反応速度。



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