ショデヒ、国のことは、だいたい全部任せたぞ。俺は女に会いにいく。

ショデヒ、国のことは、だいたい全部任せたぞ。俺は女に会いにいく。


(限界なく『リーンの理想』を実現させたいという、終着点のないワガママな欲求――ある意味でリーンは俺を縛る鎖。できることが増えすぎて、立ち往生してしまっているのが現状)


 ゴートは、急速に大きくなりすぎた。

 まだ、ゴートは、自分を測り切れていない。


 だからこそ、現状だと、いったん、些事に関しては、他人に決断を任せている――そんな状況的矛盾。


 ゴート(センエース)は、逃げることを嫌う根性の塊だが、

 『やることが大量にある時、苦手なことを後回しにするか否か』は、まったく別の問題。


 一言で言おう。

 ゴートは、もっとリーンに愛されたいのだ。

 すでに、これ以上ないほど互いの想いは繋がっているのに、

 まるで中毒者みたいに『もっと』を求めてしまう。


 ショデヒに大きな権限を与えている最大の理由は、

 自分の負担を最大限にまで減らしたいから。


 はっきり言おう。

 今のゴートは、少々厄介な状態に陥っていた。



 今のゴートにとって、優先順位は、


 『リーン』≫≫≫≫≫超えられない壁≫≫≫≫≫『世界征服』となっている。


 許されるのなら、

 日がな一日、リーンと時間を共にしたいと願っている。

 それぐらい、今のゴートは、厄介な病(やまい)におかされている。


(あと数分で『今後のラムドカード運用に関する戦略会議』がはじまる……)


 本日のスケジュールを頭の中で思い浮かべたゴートは、

 数秒だけ悩んだが、


(……別に俺がいなくても問題はないな。うん)


 第一アルファ視点でいうところの、ガ〇ダムの運用会議なので、

 当然『とびっきり重要』なのだが、しかし、

 現状の、厄介な状態に陥っているゴートの視点ではどうでもいいこと。


(ショデヒがいれば、大丈夫だ。というわけで、あとのコトはすべてショデヒに丸投げしよう。あいつは腹黒いが、実際、めちゃくちゃ優秀だ。これで、明日の昼まで、リーンと一緒にいられる)


 あっさりと、仕事放棄の決断を下すと、

 ゴートは、サクっと通信の魔法で、ショデヒに、本日の会議における全権を委任した。


 当然、ショデヒは、狂喜乱舞し、

 心の中で、


(くく! ははは! まさか、私にラムドカード運用の全権を託すとは! そこまでアホだと思っていなかった。くく……いや、それだけ信頼されているということか。さすが、私。演技力も尋常ではない高みにある。やはり、私こそが世界の王にふさわしい)


 などと考えていて、

 そして、そう考えているであろうことも、ゴートは理解しているが、

 ――しかし、どうでもよかった。


 そんなことより、今はリーンに会いたい。

 それ以外はどうでもいい。


 というわけで、

 ゴートは、そのまま、リーンの執務室の前まで瞬間移動。


 ※ ちなみに、現在、UV1は、招集があって、ゼノリカに帰還中。

 理由は次章!

 ここで、少し予告!

 次章もだいぶ怒涛!

 どうやら、センを含むゼノリカ総出で、超難度のミッションに挑む模様!



 ――リーンの執務室前まできたゴートは、少しだけ身なりを整えてから、

 親しき中にも必須の礼儀として、コンコンと軽いノックをする。


 数秒待ったが、


(……ん?)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る