ご都合主義者のデウスエクスマキナ。

ご都合主義者のデウスエクスマキナ。



 ――絶対に降りてやらねぇ。

 ――俺はまだ、ここにいる。


 そう叫び続ける神の背中。

 全てを包み込む、とても、とても、とても大きな光。


 そんな神の想いが結晶化した『叫び』は、



 ――『標(しるし)』となった。



 だから、『彼女の想い』は、

 迷うことなく、センエースを見つける事ができた。


「あれは……」


 いつだってそう。

 センエースが、これまで、ずっと、最後の最後には勝ってきた理由……

 それは、決して、安っぽい主人公補正のおかげなんかじゃない。

 祈りが通じて奇跡がおきたとか、前提のない友情パワーでうんたらとか、

 そんな、宝クジみたいな『ご都合主義者のデウスエクスマキナ』なんかじゃなくて、

 『全力で弱さに抗ってきた覚悟』と『死ぬ気で積んできた全て』が繋がった結果――


 常に、いつだって、貪欲に、狡猾に、

 最善の一手を求め続けてきた結果。


 偶然や奇跡が一つもなかったとはいわない。

 けど、センエースが乗り越えてきた絶望は、

 奇跡と偶然という二つの博打要素だけで乗り越えられる『甘い地獄』じゃなかった。

 それは、それだけは、

 疑いようのない事実なんだ!



「……ミシャ……」



 ミシャ(業)の想いは、一直線に、センエースの元に飛んできて、

 そして、フワっと優しく触れた。


 理解に染まっていく。

 本物の温かさに触れたことで、

 センは、


「……そうか……アダムとシューリを……奪い取ってくれたのか……」


 ミシャ(業)の『想い』を、ギュっと抱きしめて、


「じゃあ、あとは……あのカスを殺すだけだな……」


 その視線に、ギラっと、

 より強い光を集めて、


(P型センキーとの闘いは、『ソンキー×トウシとの闘い』とはワケが違う……)


 本題に入る。

 いまだやかましく叫んでいる『弱さ』をシカトして、

 戦闘思考に没頭する。


 偶然や奇跡を排除して、

 貪欲に、狡猾に、

 勝ち方だけを模索する。


(絶対に、確実に勝たなければいけない……だから、考えろ……勝ち筋はどこにある……どうすれば、俺は、あいつに勝てる……っっ)


 必死に頭を悩ませていると、

 そこで、

 ミシャ(業)の想いが、

 ブーーンと、音をたてて、強く光った。


 その光は、

 センエースのコアを強く刺激して、


 ――だから、


「……これは……」


 センエースの脳裏で、

 『原初の記憶』が爆発した。






   ***原初の記憶***


      ――おわらねぇ、おわってやらねぇ――

       ――俺は、かならず【『??』】を守る――

        ――100回やってダメだったなら――

         ――次は1000回挑戦するだけだ――


   ――気概だけは素晴らしいね、『??????』。

   ――けど、1000回やって、それでも、ダメだったら?


         ――その時は――

           ――当たり前のように――

            ――『1001回目』に挑戦してやるよ――


     *** ***






 あふれてこぼれた。

 覚えのない記憶。


 その濁流は、

 グンと勢いを増して、






     ***原初の記憶***




 ――一周目と二周目と三周目と五周目の??????



『ウソだ……こんなの……い、イヤだ……絶対に許さない……絶対に取り戻す……絶対に守る! 君を取り戻すためなら、【ぼく】はなんでもする! 必要なら、神だって殺してやる! 死者を蘇生させる方法でも、時間を巻き戻す方法でも、なんでもいい! 必ず何か見つけだして、絶対に君をとりもどす!!』


『やった! タイムリープ成功だ! 携帯ドラゴンの存在値を変えずに、記憶だけ飛ばせた! ……いける! これで、【[??さん]】を守れる!!』


『もう失敗はしない! 前回と前々回の【2回】で、【ぼく】は強くなった! 今度こそ絶対に守ってやる。――【[??さん]】、安心してくれ……ぼくは、必ず、君を守り抜く! 絶対に、絶対に、絶対に!!』


『また【[??さん]】を救う事が出来なかった……ぼくは、いったい、何度、【やりなおせば】いい……この苦行はいつ終わるんだ……』

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