あっけない幕切れを眺めながら。

あっけない幕切れを眺めながら。


「存在値が今の俺に匹敵するだけあって、HPがハンパなく高いな……けど、流石に、そろそろ死ぬだろ?」


 ゼッキはそう言うと、

 両手にオーラと魔力を込めはじめる。


 先ほどよりも、少しだけ長く、深く、エネルギーを溜めていくゼッキ。


「今度は、『隠れる余裕』なんか与えない……仮に、この一発を耐えたとしても、すぐに次の照射をブチ込んでやる」


「……ぐ……」


「全力を試せなかったのは残念だけど……まあ、アスドラ・ゼッキ・ミラージュを試せただけでもラッキーだったと思う事にするよ、じゃあな、P型センエース2号……つぅか、改めて認識してみると、ほんとイカれた名前だな、お前」


 最後にそう言って、

 ゼッキは、異次元砲を放った。


 空間にヒビを入れながら、

 巨大なエネルギーの塊が、P型センエース2号を喰い殺そうと、獰猛に襲いかかる。


「くっ……い、異次元砲ぉおおおっっ!!」


 P型センエース2号は、

 先ほどとは違い、

 自身の異次元砲で、ゼッキの異次元砲を受け止める。


「うぐぐ……ぬぅう!」


 P型センエース2号の戦闘力は『ゼン以下』という悲惨なものだが、

 しかし、存在値は、アスドラ・ゼッキ・ミラージュに匹敵するほど高いので、

 異次元砲に注ぎ込める魔力とオーラの量も、かなり膨大。


 だから、受け止めることはできる。

 あっさりと飲み込まれたりはしない。

 決して、ゼッキの異次元砲に対抗できないわけではない。



 ――が、そこまでが限界。

 P型センエース2号は、オーラや魔力をコントロールする技術でも、

 わずかに、ゼッキより劣っている。

 頼りの存在値も、ゼッキよりじゃっかん低いP型センエース2号では、

 ゼッキの全力異次元砲を完全に耐える事は不可能。


「がぁああああああ!!」


 押し切られて、直撃!!


 表の世界の連中からすれば、惑星の崩壊にも等しい激烈なエネルギー。


 当然、P型センエース2号のHPを大幅に削った。

 ――ものの、


「ぐぅへっ……ごほっ……はぁ……はぁ……っ」


 殺し切ることは出来なかった。

 いや、あえて、『見事に耐えきった』と評価しておこう。


 P型センエース2号は、

 その素晴らしい耐久力で、

 ゼッキのとんでもない一撃を耐えきった。


 しかし、無意味!


 事前に宣言されていた通り、


「すごいな、マジで。ぶっちゃけ、耐えてくるとは思ってなかった……けど、まあ、結果は何も変わらない」


 すでに、ゼッキは、両手にオーラと魔力を溜めはじめていた。

 冷静に、流れるように、次弾の準備をしつつ、


「何かしらの奇跡を起こして、もう一度耐えてみる? 別にそれでもいいよ。そしたら、続けて、3発目をブチ込むだけだから。それに耐えたら、また次を撃つ。五発、十発……必要なら、100発だって撃ってやる。……いや、流石に、燃費の悪さがハンパない異次元砲を100発も撃つのは不可能かな……でも、まあ、10発前後は余裕。つまり、お前は、どうあがいても終わりってこと。――最後に何か言いたいことはある?」


「はぁ……はぁ……」



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