オラ、ワクワクすっぞ。

オラ、ワクワクすっぞ。


「――ソルエンジン、起動。モード『フィクシード・エンプティ』――」


 コアオーラをフル回転させているP型センエース2号。

 爆発的に膨れ上がっていく。


 バチバチと、電流を放ちながら、

 深みのあるオーラに包まれるP型センエース2号。



「はあぁぁ……」



 と、一度、深く息を吐いてから、


「さぁて、ゼン……こちらとしては、そのまま、黙って突っ立っていてくれると楽でありがたいんだが……どうする?」


 問われて、

 ゼンは、


(ここがドコかはサッパリ分からないが……分かる事が一つだけある)


 おもむろに、自分の両手を見つめつつ、


(使える……ここでなら……なんの問題も制限も嫌がらせもなく、俺の、まっすぐな全力が出せる……)


 『それ』を正式に理解すると、

 ゼンは、

 キっと、強い目で、

 P型センエース2号を睨みつけ、


「実は、お前を始めて見た瞬間から、ずっと……俺の奥にある塊が、『お前を超えていけ』とやかましくて仕方ないんだが……なんなんだ、これ……マジで、すげぇうるせぇ……」


 その発言を受けて、

 P型センエース2号は、

 フっと、小さく微笑んで、


「……そうだよな。お前もセンエースだもんな……だったら、まあ……『それ以外の道』は『ない』わな……」


 そうつぶやいてから、

 クっと顎をあげ、

 キュっと視線を絞ってから、


「俺(ソル)を前にしたら、黙って突っ立ってはいられない……お前の、その情動、受け止めてやるよ」


 グンと、さらにオーラを加速させた。

 見間違えようのない戦闘態勢。


 それを受けて、ゼンは、


「これは別に、どっかの身勝手なサイヤ人のモノマネって訳じゃないんだが……どうしても我慢できないから、言わせてくれ」


「お前が今、何を言いたがっているか、おおよそ見当はつくが……まあ、だからといって邪魔はしないさ。好きに歌え」



「今、俺は、すげぇワクワクしている……正直、俺は、今までずっと、『予選のダンジョンで手に入れた力』を試す機会をうかがっていた。頭のどっかで、いつも、ゼノリカの誰かが奇襲にでもきてくれないかとずっと思っていた……」



 プツプツと湧き立つ鳥肌。

 脳汁が溢れて、全身が熱くなる。


「なんせ、あまりにも異常に強すぎるから、そうそう自由には使えねぇ……けれど、この圧倒的な力を、どこかで、フルに使ってみたいと、俺は、ずっと願っていた……」


 タンッ、タンッ、

 と、体をほぐすように、片足ジャンプをしつつ、


「あんたになら、たぶん、使っていいよな? 特にハッキリとした理由とかはないんだけど、なんか、あんたになら、無茶をしてもいいって気がする。なん、いいんだろ? まあ……ダメだって言われても使うけど。何がどうとは言えないけど、あんたは放置しておくとヤバそうだから」


「好きにすればいい。というか、さっき言ったばかりだろう。聞いていなかったというのなら、もう一度言ってやる。今から、俺が、お前の情動を受け止めてやるから……さあ、かかってくるがいい」


 許しを得て、

 ゼンは、

 一度、深呼吸をしてから、



「――アスラ・エグゾギア‐システム、起動!!」



 宣言すると、

 ゼンの全てが、『殺戮の神』に包まれた。

 この世の全てを殺さんとしている、狂気的な威容。


 フッキと融合した完全状態ではなく、

 素のアスラ・エグゾギア。

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