バグVSソンキー。

バグVSソンキー。


「見えた!! 届く! この上なく美しき神ソンキー・ウルギ・アース! 私は、貴様を超えていける! 見ろ! これが私という個の極地! 世界を喰らい尽す、因果の最果て!! 全ての絶望を絶望させる、閃陰の終着点! アンリミテッド・トランスフォーム・モード【舞い散る閃光】!!」



 その黒き光は、

 『彷徨う冒涜』との闘いの中で、

 ついに、種の限界という壁を超えて、

 無限の高みへと辿り着く。


 これまでの全てが、

 バグの中で繋がっていく。


 『この上なく尊い神』と繰り広げた激闘、

 その積み重ねは、輝く神を昇華させただけではなく、

 バグという奇怪な闇を色濃く染めた。


 そして、その上に積まれた、『極限チートな運命』という膨大極まりない魂魄。


 全てが絡み合って、

 結合して、

 満たされて、

 天高く、昇華されて、


 だから、ついに、真に、

 バグは、本当の、本当の、本当に、

 ――完成した。



「全ての闇が、今、ここに結集した。私は、正しい無となって、世界を終わらせる。最果ての闘神よ。貴様はその糧――世界が私に捧げた供物」


「誤想もそこまでいくと、大したものだと本気で笑える」


 ソンキーは、魂の芯にオーラを集めながら、


「あのド変態のビルドをトレースしたから最強ですってか? 思考停止にもほどがある。マジで大丈夫か? 夏休み満喫中の中学二年生でも、もう少し頭を使って生きているぞ」


「私という完成した概念を前にして、現実逃避したくなる気持ちはよくわかる。けれど、虚勢で世界は動かない。私という完成した個の前では、貴様はただの生贄にすぎな――」






「――真・究極超神化6――」





 バグの言葉を最後まで聞かず、

 ソンキーは、

 深く、遠く、辿り着いた世界にダイブして、


「お前に対して言いたいことは、すでに、先走ったお前が残らず並べてしまった。同じ言葉を揃えるのも芸がない……というわけで、」


 高き武を構えて、


「結果で示してやるよ。本当の最果てを魅せてやる」


 ジュっと、何かが蒸発した。

 とらえきれない神気の濁流。

 停滞したかと思ったら、

 次の瞬間には弾けて散った。


 ソンキーの輝きを包み込んで、

 バグの挙動が滑らかになる。


「高き闘神よ……貴様は強い……しかし、まだ完成していない」

「自覚しているさ。ここはまだ上り坂の途中。完成なんて言葉を、俺は死んでも使わない。俺は永遠に未完成でいい。だからこそ辿りつける世界に――俺は行く」


 炸裂が連鎖する。

 上品な爆発が終わらない。


 理解できないパズル。

 積み重なって、絡み合って、

 気付けば、消失していて、

 また、違う形が産まれて、

 倫理が変化して、

 道徳が壊滅して、


 新しいルールが完成して、

 古いルールがねじ伏せられて、

 そして、また、

 次の世界でルールがルールを殴り殺す。



「――ぐふっ」



 踏み込まれて、

 重たい一撃をくらったソンキーは、吐血しながら、


「ウゼぇなぁ……見えているが、反応しきれない速度……つまりは、俺の一歩上……」


「正しい理解力は尊い」


「上から言葉を降らすなよ。払いのけるのがダルいんだ」


「答えは出た。貴様は私に勝てない……世界は終わった。全てを受け入れろ」


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