サブイベントの開始。

サブイベントの開始。



「ふはは! すげぇえ! なんだ、この力! 膨れ上がってきやがる! 神を感じる! コスモを感じるぅううう!! うぃいいいいい! はっはぁああああ!!」


 ラリった顔でそう叫んでいる『彼』を見て、

 神話狩りのメンバーは、


味崎「おいおい、あれ、どういう……」

ナツミ「流石に展開が急角度すぎて、全然ついていけませんね……」



 と、つぶやいた。

 その直後、

 神話狩りメンバーの脳内に、アダムの声が響く。


『それでは、サブイベントの内容を発表する。貴様らの前に現れたその化け物――ネオバグを討伐すること。以上だ。手段は問わない。細かいルールなどもない。自由にやれ』


虹宮「じ、自由にって……」

ナツミ「アバウトな……」

雷堂「でも、その方が楽で助かるわね」



『ああ、そうそう。言い忘れていた。今回のミッションに際して、お前たちの携帯ドラゴンには、【閉鎖空間を生成できるようになる強化パーツ】をインストールしてある。閉鎖空間は、簡単に言えば、どれだけ暴れても、範囲外には被害が出ない防御膜。範囲外にいる者の認知からも外れるから、周囲の目を気にする必要もなくなる』



味崎「強化パーツっつってるけど、ただの『周囲への配慮』でしかないな」

岡葉「戦力的には、一ミリもアップしていないからね……」


『それでは、心おきなく闘え。もし勝てたら、自動的に、こちらへ帰還できるようになっている。そののちに、報酬を与える』


 そこで、アダムとの接続は完全に切れた。


 そこで、ネオバグが、



「はぁああ……」



 と、深く息を吐きながら、ギロリと、神話狩りメンバーを睨みつけた。

 アダムとの通信中、ずっと、恍惚の表情で、天を仰ぎ、息を吸ったり吐いたりしていたネオバグ。

 ――そんな彼が、ゆっくりと、言葉をつむぐ。


「解放された……俺は……完全な俺になった……くく」


 不敵に笑って、


「クソ女ども……さっきはよくも俺をいたぶってくれたな……キッチリと御礼をさせてもらうぞ」


 言いながら、全身に力を込めていくネオバグ。

 グググっと体が、少しだけ大きくなった。


 増していく威圧感。

 その狂気を感じさせる姿を目の当たりにした神話狩りは、


岡葉「ネオバグねぇ……どのくらいの強さなのかな? ボクの携帯ドラゴンだと測定できないんだけど」

ナツミ「私の携帯ドラゴンでも測定できませんね」

ツカム「……ちょ、マジですか。岡葉くんと蜜波さんの携帯ドラゴンでも見えないって……それ、ヤバいんじゃないですか?」

ホウマ「ぴよぴよ(まあ、あの神様が、『楽勝で勝てる相手』なんか用意するワケないわよね)」

雷堂「ヤバいくらいで当たり前って感じ」

岡葉「そういうこと。さて、それじゃあ、全員、配置につこうか。ここからは、神話を狩る時間だ」



 などと言葉をかわしあいながら、ネオバグを囲むように、扇状に広がっていって、



「ボクらは神話狩り。神を殺す剣。貴様のような虫ケラに屈しはしない。トランスフォームッッ!!」


 めちゃめちゃカッコつけながら、無駄にポーズも交えつつ、華麗に変身する岡葉。

 他のメンツも(ポーズをとったりはしないが)それに続く。


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