三対一でフルボッコだ、ドン!

三対一でフルボッコだ、ドン!




「叫んだからじゃねぇよ。お前らと闘う事になったから上がっただけだ」




「意味が分からないわね」

「しかし、あれ以上の説明をする気はなさそうじゃのう」

「では、会話はここまでということで。死闘を始めます。――気を抜かず、全力で、徹底的に殺します……御二方、準備はいいですか」

「……当たり前」

「血はすでに沸いておる」



 言葉が終わると、

 三至は、それぞれの得意距離を保って、

 それぞれの得意分野でP1に圧力を展開していく。


 そんな三至と対応しながら、

 P1は、


(三至の能力は確かにぶっちぎりで高いが、しかし、それがゆえに、三名とも、『上位者との戦闘』には慣れていない……『センエースに修行をつけてもらった』という経験以外で、『強い者』との戦闘経験が少ない。そこがこいつらの弱点だ……実際のところ、弱点といえるほどのものとは言えないが、その経験不足は、やはり芯の部分で大きい……)


 頭の中にあるデータを頼りに、三至との戦闘プランを立てた。

 綿密なプラン。

 『細かいところ』まで行き届いた詳細なプラン。

 つまりは、コンマのズレで大きな問題が起きるプラン。



 ――ゆえに、



「うげっ! うおえ! がぁ!」


 P型センエース1号は、


「げはっ! ちょ、まっ――ちょっと待って――」


 ボッコボコにされた。

 もう、ボッコボコに。

 フルボッコだ、ドン!




「うべぇほ!!」




 そして、淡い光に包まれる。

 あっさりと殺されて、そして復活。

 新品の状態で復活していながら、その心は焦燥に包まれていた。



(……ちょ、ちょっと待て、ちょっと待て、ちょっと待て……そ、想定を遥かに超えているじゃねぇか……なんでだ……どうして……)


 焦りはミスを呼ぶ。

 完璧な連携で展開してくる三至を前に、小さなミスは文字通り命とり。

 またもや、あっさりと殺されるP型センエース1号。


 淡い光に包まれ、

 ――蘇ると、そこで、


「ふっ、ふざっけんじゃねぇえ!」


 体勢を立て直そうと、強固なドリームオーラを張った。

 今は、少しでもいいから、考える時間が欲しかった。


(わ、わけがわからねぇ! くそ! まずい! これ以上死んだら! シューリから武を学ぶ時のストックがなくなる! ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう! なんでだ! なんで、こいつら、こんなに強い! こいつらが、ここまで強いワケないのに! こいつらには、明らかに、『上位者』との『戦闘経験が積まれた痕跡』がある! ありえねぇ! どういうことだ! シューリが稽古でもつけたのか? ありえねぇ! あの女が、そんなことするわけねぇ! あの女が手を貸すのは、センエースだけだ! そして、センエースは、自分の弟子をシューリに任せるようなマネはしない! マジでイヤがると分かっているから! シューリに任せるとしたら、『自分自身』の修行までがギリ。『ゼン』を任せる事はあっても、三至を任せる事は絶対にない! なのに! くそ! 意味がわからない! 理屈が通っていない! つぅか、仮に、なんかの間違いで、シューリが手ほどきをしていたとしても、こんな結果にはならない! こいつらの、この強さは、『ガチの経験』が積まれている! ちゃんとした、ガチンコの削り合いを経た跡がうかがえる……わ、わからない! この状況はなんだ! どうなっている!)


 ガードを固めて必死になって状況を整理しようとするが、

 結局、考えはまとまらず、余計に混乱しただけ。

 だから、結果、



「うがぁああああああああ!!」



 超火力の一撃を浴びて、またもや死亡。

 もちろん、すぐに蘇るが、


(くそ、くそ、くそぉおお! まだ、なんの抵抗も出来ていない段階で、三回も死んじまったぁああ! ド畜生ぉおおおお!)



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