『無限転生・改』は……

『無限転生・改』は……


 何度でも蘇って抗ってくるP型センエース1号。

 そんなP1の異常な姿を目の当たりにして、

 ジャミは、しかし、折れずに、


「無限なワケがない! 自動蘇生などという、莫大なオーラと魔力を必要とするであろうスキルが、無限に使える訳がない! 押し切る! 必ず押し切ってみせる!」


 さらにオーラと魔力を増大させて、P1をボッコボコにするジャミ。

 まだまだボコボコにされながら、P1は、心の中で、


(……ははっ、まあ、確かに無限じゃねぇよ)


 ボソっとそうつぶやいた。

 続けて、


(所詮、『無限転生・改』は、無限転生の改悪版。けどな、ジャミ……お前じゃ俺は削り切れねぇ。五聖命王でも、三至天帝でも、俺を削り切る事はできねぇ。究極超女神シューリ・スピリット・アースでも、俺はこえられねぇ。俺を削り切れる可能性があるとすれば、本物のセンエースだけだ。センエースならありうる。それは認める。それは事実)


 センエースだけは別。

 すべてにおいて、別格。


(ルート通りに事が進めば、俺は、ほぼ確実に、センエースに負ける。俺は、ただの、D型専用の『戦闘力用・強化パーツ』になって終了)


 そこで、P型センエース1号は、ギリっと奥歯を噛んで、


(……そんなの認めねぇ……絶対に負けねぇ……センエースの『足止め(一次試験)』が終わるまで、あと一時間ちょっと……センエースが戻ってくるまでに、必ずセンエースを殺す下準備を整えてやる。規定のルートを超えてやる! 最善の向こう側に! 可能性の果てに辿り着く! ――そのためには、お前の働きが重要だ、ジャミ! さあ、もっと頑張ってくれ! 俺をもっと、高みへと押し上げてくれ!)


 神種が芽吹いたジャミの力は圧巻。

 その才能も、積み重ねてきた努力も全てが規格外。


 そんなジャミに、

 P1は、次第に近づいていく。

 ほんの数分闘っただけで……



「お、おい……あのガキ……ジャミと拮抗しだしてねぇか……」



 ふいに、バロールが、額に汗を流しながらボソっとつぶやいた。

 九華の面々が、ごくっとつばをのんだ。

 後ろの方で展開されている閉鎖空間では、百済の面々が真っ青な顔をしていた。


 ――正直、みな、ジャミが登場した時点で『終了』だと思っていた。


 ここにいる全員が、ジャミの異常性を熟知している。

 百済の面々は、まだ、『ジャミの神種が開いた事』を知らないが、

 しかし、ジャミが『ハンパない天才だ』という事は当然のように知っている。


 ジャミは別格の超天才、至天帝(最果て)に届きうる器――それは、ゼノリカの常識。


 『九華十傑』という、スーパーエリート集団の中でも、ぶっちぎった才能を持ち、かつ、努力家で、イケメンで、さらには、『無限に回復し続ける』という『イカれた無敵技』まで兼ね備えている、スーパートチートマン。


 そんなジャミに、驚くべき速度で追いついていくP型センエース1号。


 ボロボロで仰向けになっているカティが、

 視線だけで、ジャミとP1の闘いを追いながら、


「ありっえない!!」


 奥歯をかみしめ、


「ジャミが……九華の第一席が! あれほどの男が!! 神になったほどの超人が! 負けるわけないっ!!」


 血走った目でそう叫んだ。

 ――と、同時だった。


「がぁあああっっ!!」


 ジャミのみぞおちに、P1の膝がクリティカルで入った。

 くの字に曲がって、脂汗を流しているジャミ。


 その様を見て、九華と百済の面々は、思わず悲鳴を上げてしまった。

 無様にキャーキャーと叫ぶなんて事はないが、

「――ひぃっ」

 と、飲み込んだ息が喉にささる程度にはマイナス性の驚愕を示す面々。


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