G‐クリエイション・プチ。

G‐クリエイション・プチ。



 首をひねりながらも、テプは、そう言うと、

 自身の右手を、ゴートの額に押しつける。

 そして、ゴートに力をインストールしつつ、同時に情報を流しこむ。

 その間、コンマ数秒。


「究極大当たりの内容は、『G‐クリエイション・プチ』の解禁だよぉ! Gクリプチは、究極大当たりの中でも、相当上のほうだよ! 『本物』とは違って、干渉できる範囲は、かなり限定的だし、初期状態だと出来る事は経験値取得率を増やすくらいだけれど、条件を満たして、アプリを解放していけば、『すごい裏技』がたくさん使えるようになるんだぁ。やったねぇっ」


 軽くそう説明してから、テプは、


「ふぁ~あ……じゃ、また明日ねぇ」


 いつものように、あくびを一つはさんでから、この世から姿を消した。


 テプを見送ることもなく、ゴートは、脳に叩き込まれた『G‐クリエイション・プチ』の情報と向き合う。

 この激しい糖分枯渇にも、すでに慣れた。


(また、別格にやべぇチートがきたな……)


 秒で理解が深まっていく。

 コンマ五秒ほどで理解、一秒に届く前に溜息。


(今のところ、解放されているのは、経験値取得倍率の変更のみ。だが、条件を満たして機能が解放されていけば、ステータスそのものをいじる事も可能……完全な裏技だな。裏技っつぅか、改造コードじゃねぇか)


 ちなみに、解放条件は不明だった。

 頭に刷り込まれた『G‐クリエイション・プチの情報』はかなり少ない。

 なのに、情報インストールの際の糖分枯渇は今までよりも、若干、キツかったように思えた。

 もう慣れてしまっているので、多少、キツさが増しても普通に耐えられるが、『なぜ?』という疑問は残る。

 とはいえ、そこは考えても無駄な領域だとすぐに理解できたので、


(とりあえず、経験値取得倍率を変更させてみるか)


 G‐クリエイション・プチは、『スマホ型』のマジックアイテムを召喚する事で使用できるようになる。

 スマホ型である点に関しても、若干の疑問を覚えたが、これも、気にしたところで答えが得られるようなものではないだろうとすぐに判断し、ゴートは、『経験値取得率倍率変更』のアプリを起動させる。


(いまさら自粛する意味もねぇし、最初から最大で行くか。最大でどのくらいあげられんのかね……つぅか、なんで、『最大でどのくらい上げられるのか』っていう基本情報が、インストールされてねぇんだよ)


 頭の中にある情報は、『G‐クリエイション・プチ』の簡単な使い方だけで、最高でどのくらい上げられるのか等の細かい情報はいっさいなかった。

 ぶっちゃけ、与えられた『G‐クリエイション・プチ』の情報は、『頭の中に直接インストールされんでも、普通に口頭でも覚えられるわ』と言える程度でしかなかった。


(まあ、試せば分かることだから別にいいけど……)


 ゴートは、心の中でそうつぶやくことで、意識を切り替え、


(さてさて、はたして、どのくらい上げらられんのかね……んー、2倍くらいまで上がってくれれば、すげぇありがたいんだが、でも、常識的に考えると、20%とか、よくて50%くらいか? ……いやいや……こいつは、テプの究極当たりだし、もしかして、3倍くらいまでいっちゃったりする?)


 倍率を上昇させるのは非常に簡単だった。

 ただ単純に『上昇』のコマンドを押せばいいだけ。

 『この程度のことで、経験値取得率が変わってたまるか』と言いたくなるほどの簡易さ。


(……おっ、2倍にはなるな……3倍……も、行けた、行けた! すっげぇ。3倍まで上がるのかよ。ヤベぇな、ただでさえ、成長チートがやばいのに、これだと、俺、爆速で凶悪に強くなっちゃうよ。……って、ん……3倍でも上限じゃない……だと?)





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る