手がつけられない成長倍率。

手がつけられない成長倍率。


 最初から、ケタ違いの成長チートを持つゴート。

 そんな彼の経験値取得率が、このたび、倍増どころか、なんと、三倍増!

 こんなチートを手に入れちゃって、いったい、どれだけ強くなれるのか――と、期待に胸を膨らませているゴートだったが、

 そこで、ふと気付く。


(あれ? これ、まだ上がるな……え、嘘だろ……5倍もいく?!)


 上昇のコマンドを押すと、3倍よりも更に上昇させられた。


(5倍って……いやいや……俺、たぶん、世界最高クラスの成長チートを持っているのに、それが、さらに5倍? うそだろ……そんな事になったら、俺どうなっちゃうんだろ――)


 と、異常なチートを前に、もはや不安すら覚えるレベルのゴート。

 ただ、びっくり仰天は、ここで終わらない。



「え、嘘だろ……まだ、上がる? ぇえ……うそぉん……」



 5倍どころではなかった。

 G‐クリエイション・プチのチートっぷりは、半端じゃなかった。



(10倍……20倍……いやいや……)



 そんなものでもなかった。

 10倍の段階でも狂っているが、そのさらに倍の20倍でも、まだまだ全然限界ではない様子で、


(100……倍……うそだろ……ついには、100倍になっちゃったよ……どんだけ……って、おいおい、マジかっ! まだ、あがるのか?!)


 とどまる事を知らないGクリプチの凄まじさ。

 100倍なんてものじゃない。

 Gクリプチは、もっと、もっと、狂っている!


(ん……おいおい、どこまで上がるんだ……1万倍……10万倍……は? まだ? ……1000万倍……1億倍……いやいや、いやいやいや! どこまで上がるんだよっ!)


 ――結果、






(経験値取得倍率……最大『893兆』倍……ば、バカじゃねぇの……)






 最大で、893兆倍まで上昇させられる事がわかった。


(な、なんだよ、893兆って……もうインフレっていうレベルじゃねぇぞ……ここまで、きたら、もはや、ただのイキった冗談だよ……)


 ふかすぎる溜息をはくゴート。

 もう何がなんだか分からない。

 今まで入手したチートも散々たいがいだったが、このG‐クリエイション・プチは、今までの全てが霞んでしまうほどの異次元チートだった。


(ちょっ……これ、冗談じゃなく、マジで893兆倍になるのか? ……いやいや、893兆倍て……俺、どうなっちゃうんだよ。その辺でスライムを一匹倒すだけでも、フッキをこえちゃうんじゃない?)


 想像すらできない世界。

 それが自分の現実であるという理解が深まるにつれて興奮度合いが増してくる。


 溢れ出る脳汁!

 期待で全身が沸いている!


(さっそく、ためしてみるか。もちろん、スライムを狩って試すようなつまんねぇマネはしない。最高最大の結果を求めてやる)


 ニっと笑い、ゴートは、もともと向かう予定だった『サイコゾーン・サンクチュアリ』へと向かう。


 サイコゾーン・サンクチュアリは、ゴートの自室にある扉のことで、

 簡単に言えば、ソウルゲートみたいなものである。


 ソウルゲートと違い、時間圧縮の効果はないが、代わりに、魂魄を得る事ができるため、どちらかといえば、10秒ルームの方が訓練内容としては近い。


 『入った者と同等の存在値のモンスター』が出現し、倒せば相応の魂魄を入手する事ができる。

 『モンスター』の『戦闘力』は、『入室者の存在値依存』であり、『入室者の存在値』が高ければ高いほどソレに正比例して強くなる。



 ゴートは、今日までに、幾度となく、このサイコゾーン・サンクチュアリを使用して、強さを底上げしてきた。

 その結果、現在……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る