二度目の、モナルッポVSウルトラバイオレット・ゼロゼロナイン。

二度目の、モナルッポVSウルトラバイオレット・ゼロゼロナイン。


 モナルッポは、UV9を完全に理解した。

 この存在は完全に狂ってしまっている。

 『生命を超越してしまうと、こうなってしまうのだろうか』なんて一抹の不安を抱きながら、同時に決意する。


「人類にとって、お前は害悪でしかない。超魔王ウルトラバイオレット・ゼロゼロナイン。俺は、お前を殺す。人類の未来を、この手で奪い取る」


 突撃するモナルッポ。

 マシンゴーレムが唸りをあげる。

 アンドロメダにかました一発よりも重い渾身の一撃。

 それを、爆発的な衝撃とともに受け止めるUV9。


 ギリギリッッ!

 と、鉄と肉が激しく軋む音は響く。

 モナルッポに魔力を注がれて躍動するマシンゴーレム。

 セレーナたちは、支援魔法等の出来うる全てを賭して、モナルッポを援護する。


 そんな『必死の抵抗』を、UV9はあざわらう。


「存在値80ちょっとが駆るマシンゴーレム一機……その程度の対処もできないで、神を目指すなんて言わないさ」


 UV9がくりだす一手一手の初動に加速がくわわった。

 アンドロメダのように変身したというワケでもないのに、UV9の『存在感』が一気に膨らんだ。


「高みを知れ」


 UV9の拳が、マシンゴーレムの腹部を貫いた。

 パーツが砕けて、破片になる。

 損傷率が一気にはねあがり、モナルッポの視線、モニターが真っ赤になった。

 ビービーと鳴る警告音。


「くそ! くそ! くそぉお! 負けてたまるかぁあああ!」


 全オーラを集結させて、モナルッポは叫ぶ。



「マシンゴーレム! 今、俺にひねり出せる魔力とオーラを全部やる! だから、お前の全部をくれぇええ!」



 その叫びに共鳴するように、



『――【マイクロ・サイコジョーカー】を起動します――』



 マシンゴーレムが解放される。

 となれば、当然、

 モナルッポの精神に、




「うぷっぐおぇえええええええええ!!」




 おぞましいほどの圧迫がかかる。

 頭がおかしくなりそう。

 全身の細胞すべてが狂ってしまいそうな、この途方もない地獄の中で、


「う……う、うぅううううう!! ああああああ!! ぃ、イカれたクズ野郎ぉがぁああああ! 死ねよぉおおおおおお!!」


 全身がバラバラに解体されているかのような感覚に耐えて、モナルッポは、UV9に突撃する。

 なんの技術も計算もない、たんなる捨て身タックル。

 ただ、爆発的に加速させて、突っ込むだけ。

 思考なき一手。

 しかし、それは、



「ぐぉおおおおお!」



 強大なインパクトを産んだ。

 途方もないエネルギーの収束。

 結果、



「がっはぁあああ!!」



 白目をむいて血を吐きだすUV9。


「……う……っ……」


 UV9は、そこで、グタっと、気絶して動かなくなった。


 その直後、強制機能停止して『ただのガラクタ』になったマシンゴーレムから、放り出されるように排出されるモナルッポ。

 気絶してしまったモナルッポに駆け寄りながら、パルシュとユーイが、


「すげぇぞ、王子! 産まれてはじめて他人を尊敬したぜ!」

「そのセリフ、今日だけで三度目。けど、わたしも同意」

「素晴らしい! 本当に! 敬服するわ!」


 と、そこで、パルシュが気付く。


「おい、あのクソ魔王、まだ生きてんぞ! トドメをさしてやる!」


 そう言いながら、パルシュは、気絶しているUV9のもとまでダッシュして、とりだした刃物でUV9の首を刈ろうとするが、


「ぐっ……かってぇ……マジかよ」


 キィンと弾かれる。

 恐ろしく硬質なボディ。


 その様子を見たセレーナが、


「おそらく、魔力バリアを展開しているのね。気絶したら発動するアイテムでも装備しているのかも」

「指輪とかならともかく、体内に埋め込むタイプだとどうしようもねぇな」

「逃げるしかない。残念」

「ちっ、くそったれ。チャンスだってのに」


 いいながら、パルシュは、気絶しているモナルッポを肩にかつぐ。

 そして、その場からとっとと逃げ出した。


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