第11話 ディナーの最高とはこういうこと
シャルキュトゥリ(パテとかそういうやつ)が大好物の私。
二年前に行ってとても美味しかったビストロ。余りの美味さと接客のよさに悶絶した記憶が忘れられなかった。
あれから二年またパリに行けることになりその店の情報を探すとシェフが二軒目を出したとのことで絶対行こうと心に決めた。
まず店に入って接客のよさに唸る。優秀なホールのスタッフがいればその店の味は倍以上に美味しく感じるの格言通り、英語も通じるし対応も完璧。日本人だからとか男一人客だからなどというのは微塵もない丁寧な接客。
サーモンマリネ:
キュウリの風味がするムースが添えられる。なんてことない料理だけどしみじみ美味しい。ただビストロではこの手の料理は薄くカットして出て来る印象があったけどここのは厚切り。こっちの方が味わい深いかな。厚くカットしてもしつこくならない味付けがポイント。
パテアンクルート:
パテアンクルートはシャルキュトゥリでは外せない定番。ここのは古典的なものとはスタイルを変えている。今回のパテアンクルートではファルス(中身のこと)をそんなに混ぜてない。本来ファルスを上手く混ぜ込んで一体感のある味を目指すのがよくある方向性。その中で食感に気を使うとかある材料を多くしようとかって職人のセンスが加わることになる。でも今回のは肉は肉、脂身は脂身等々それぞれの味がとても濃い状態で独立したように入れられていた。そのせいでナイフで切ると少しばらけてしまう。これはパテアンクルートとしては減点かもしれない。でも生地と一緒に全てを口に入れた時、各素材の主張が爆発的に混ざり合い古典的なものと全く異なる方向性の一体感が創られる。なんという鮮烈さ。概念そのものが異なる感じ。生地には底と側面にブリゼ生地を使い上面にパイ生地を使って芸が細かい。
フォワグラのパテ:
フォワグラのパテはとてもシンプル。フォワグラのよさがよくわかる一品。ここはパンが美味しくてフォワグラを塗り塗り食べてたらワインが止まらない。そうそう付け合わせはフルーツ系のジャム的なもの。こうやって甘さを添えるのは本場だからかな。
ソーセージのソテ:
メインはシェフのその日のオススメ料理ってことでソーセージ。言葉にすると粗挽き豚のソーセージって感じだけどソーセージってここまで美味しく作れるんだと驚く味だった。恐らく本来の目的である保存性を犠牲に美味しさを追求していると思うがここまで肉の香りを感じるソーセージは出会ったことがない。それと付け合わせである野菜のソテーが美味すぎた。この野菜だけでも朝までワイン飲んでられる味。ソースはバターの風味を活かしたサッパリ目で素材の味を引き出す日本人も好きな味付け。いやー堪能。
ババ:
デザートはババにしてみた。シャルキュトゥリやってる人はデザートが上手ってのが私に持論。ここのはケーキをわざと水分少なめにして強めのラムをかけてもびしょびしょにならないよう考えられた洗練型。大人のデザートですな。
全て堪能して大満足。パリはやっぱり美味かった。
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