ショートホラー「カムフラージュ」

ショートホラー「カムフラージュ」（１話完結）

同窓会の通知を、郵便配達員が手渡した。

長沢きみよは、文面を読みながら、初恋の人を想い出していた。

同窓会行ってくる…。

きみよは、普段よりオシャレをして、いそいそと、同窓会の会場に出かけた。

塚本英二。

老けている同窓生の中に、一際若々しい彼が、いた。

きみよは、昔に戻って舞い上がった。

塚本くんは、結婚してるの？

塚本は、

「それが、嫁は、死んじゃってね。」

独身に戻ったんだと、言った。

へえ。

きみよは、頷いた。

じゃ、ちょっとは、近寄ってもいいかな？

きみよは、塚本とばかり話をした。

昔の話、そして、それからの話。

きみよの聞きたい話は、尽きなかった。

二次会に行くという、みんなの解散に、きみよは、二次会への参加を決めた。

女友達と二次会に行くから…。

夫には、そう連絡したきみよだった。

二次会でも、塚本とばかり話していたきみよだったが、

名残り惜しそうに、塚本と、握手をした。

今日はたのしかったわ。また、会いましょう。

きみよが家に戻ると、

女物の洋服や、下着が、家に散乱している。

何これ？

女？

一瞬夫の浮気を疑った。

わたしがいない間に、女を家に入れた？

きみよが、殺気だった時、奥で、ガタリと音がした。

「誰！！」

きみよが、気を荒立てて、音の方に、向かうと、

夫が、女物の高そうなパンティーを履いて、化粧をしている最中だった。

あなた！！！

女装趣味がバレた夫をひとしきり詰るきみえ。

その日から、夫婦仲は冷え切っていき、半年を待たずに、夫婦は離婚することになった。

きみえは、一年後塚本と再婚した。

そして、見た。

塚本の押入れのカバンの中から、無数の女物のパンティーを…。

「カムフラージュ」…。

―完―