ラノベの悪役しか限界を超えない

 ラノベ表現の限界を説くのが、この論の目的だが、限界を超える場合もたまにある。

 ここで挙げていく限界など既に突破されていると思うかもしれない。

 しかし、よくみると限界突破したのは悪役だけで、主人公側は超えていない。


 ここでいう悪役とは、不義をなす悪者だけではない。

 明るく陽気でないキャラも悪役の一部だ。

 ライトノベルの物語は、明るいキャラが自分を変えずに暗い奴を変えるプロセスに過ぎないのを思い出そう。


 正義の明るいキャラがいつも完勝するのでは面白くもなんともない。

 そこで、明るいキャラが最後に論破するとしても、こうした悪役に好き勝手しゃべらせて、時々花を持たせてやる。

 悪役たちはラノベの表現領域を超える言葉で味方サイドを攻撃する。


 ラノベが斬新に思えるなら、ここである。

 その言葉が表現の新境地を開いたように感じられうるのだ。

 悪役にも魅力がある。


 しかし、彼らの言葉はあくまで悪役である。

 その言葉が主人公側よりも魅力的に響くなら、味方サイドが悪に負けている場面を堪能しているのであり、作品として破綻している。そんな楽しみ方は間違っても作者の本意ではない。

 主人公側の正義の反論が、どこかで見たような紋切り型だった時は特に。

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