5−2「教会の通路清掃」

清掃を始めると僕は開始と同時に驚いた。


シスターがオススメするモップは床を軽くなでるだけで大小様々な範囲の汚れが一気に落ちるのはもちろんの事、機械も軽いために移動時間がスムーズになり時間短縮に大いに役立つ。


また、付属だと言われていた顔を覆う鳥型のマスクも、あれほど周囲に漂っていた腐臭を完全に遮断しており、薄手の長靴や手袋は動きやすい上に使いやすく、まさか通路に広がる血肉はこれらの製品のデモンストレーションのためにわざと汚したのではないのかと疑うほどに全ての清掃用具がしっかりと個々の役割を果たしていた。


…そして、10分も経たずに長い通路とその途中につながるコの字型の通路の清掃が終わるとシスター・村雨は僕らに声をかけた。


「ありがとうございました。おかげさまで随分綺麗になりましたわ。回収したしますので、モップなどこちらにお渡しください。」


僕らは教会から借りていた上着やマスクを脱ぎ、シスターに渡す。


するとシスターは通路の途中にある開かれた両扉の先…コの字の通路につながる道を指差し、その途中にある赤いドアに入るように指示を出した。


「中は飲み物などを揃えた休憩室になっておりますので歓談などをお楽しみください…ただし、スマートフォンの案内が届きましたら指示に従って行動をしていただくようお願いします。あと、決して机の上にある食べ物については口にしないように、これは当教会からのお願いです。」


(…変なこと言うなあ)そんなことを思いながらも主任に従って歩いていくと、指示の通り赤い扉が現れ、僕らは中へと入ることにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る