レポート・3「社有ビル、大掃除作戦」

3−1「サーバールーム大掃除作戦」

街の郊外にある6階建てのビル。


その内部の2階から4階まで社内用のサーバーが数十基ほどフロアを埋め尽くし稼動しているということなのだが、周囲は工事用の保護シートですっぽり囲われているため内部の様子を伺うことができない。


さらにそこから200メートルほど中に入れないようにポールやテープで周囲が立ち入り禁止にされており、バリケード前に並ぶ大型貨物トラックが計5台、その隣に救護用の大型テントとロッカールーム兼消毒設備のテントが3つずつ併設され、その横にはさらに2台の消防車両と巨大な解体用のショベルカーが4台、おまけに何に使うのかわからないデカいアンテナのついた車両まで並んでいた。


その手前に置かれた壇上では、数人の硬い表情をしたシステム管理部と清掃班のあいだに身長130センチにも満たない童顔の女性システム開発部長が立ち、マイクに「あー」と可愛らしい声で話しかけてからこう言った。


「システム管理部門の東南エリアを担当しているエージェント・ヴェルザンディです。今日はみなさん弊社で三ヶ所管理しているサーバールームのうち、東南エリアのシステム修正および清掃作業にご協力いただきありがとうございます。本日は作業中に非常に大変な思いをするかもしれませんが、システム管理部と清掃班の協力のもと定時に終了するように努めますのでチーム一丸となって頑張りましょう。作業の合間には、十分な休憩と栄養・水分補給を忘れずに!」


「「「「「おー!」」」」


目の前の100人近くの男女は何やら並々ならない緊張感を漂わせ、各々この日にのみ配布される社名ロゴの入ったオレンジ色のジャケットを羽織っている。

その光景を眺めながら、僕は入社3ヶ月目にして初めて感じるこの恐ろしいまでの熱気に、ただただ圧倒される他なかったのであった…

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