第9話

眼を開けるとそこは絶景。



きらきら輝く水。


どこまでも広がる水。


完全には透き通っていない水。


足元にはさらさらの砂。


水に沿って広がる砂。


肌色、人色に近い砂。



ここは本で見たことがある。


海岸だ。


綺麗。


始めて心底そう思った。



まだ見ぬ世界に一歩踏み出した。


五月蝿い電車の音。


煙突から立ち込める訝し気な煙。


悪臭が酷すぎる路地裏。


どれも汚くて人間味のあるものだ。



賑やかな商店街。


屋台から伸びるおいしそうな煙。


一つ輝く綺麗なレストラン。


絵本フィクションのようだ。



何か懐かしい匂いを感じながら中に入っていった。

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