ショートホラー「あなたの彼女」

棗りかこ

第1話 ショートホラー「あなたの彼女」…序幕


「あれ?」

大学生の柴崎渡は、ある日、携帯スマホで、ネットニュースを眼にした。

丁度、授業が休講になって、ヒマな時だった。


あなたの彼女を教えます…。


そのキャッチフレーズのバナーのついたニュースでは、

なんと、自分の名前を入れると、自分の彼女を教えてくれるというのだ…。

「へえ。」

柴崎は、何気なく、そのバナーをクリックした。


そのサイトは、シンプルに出来ていた。

名前を入力する欄だけ。

柴崎は、柴崎渡と、欄にインプットした。


すると…。


待島いつみ…。と。

女性の名前が画面にあらわれた。


へえ…、俺の彼女はいつみちゃんっていうのか。


それは、普段の生活の、たった一瞬に過ぎない出来事だった。


「あれ?」

柴崎のラインに、友達登録の申請が来ていた…。


「待島いつみ」


誰だろう?


柴崎には、その名は、思い当たらなかった。


その日から、柴崎は、アパートの郵便受けに、黒い封筒の手紙を受け取るようになった。

「なんだよもう。」


私の事、忘れたんですか?


私の事、忘れるなんて、ヒドイ。


手紙は、毎回一行しか書かれてないものだったが、名前は書かれてなかった。


「誰だよ、もう」


柴崎は、手紙が来るたびに、破いた。


私、あなたの傍にいますよ…。


その手紙を破いた柴崎の、右腕に、「いつみ命」という字が浮かび上がってきたのは、数日後だった。



―完―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る