雪の果て

冬月雪乃

第1話 大阪に寒波きたー。

「さぶっ」

大野隆二33歳 白い息を吐きながら 足速に戎橋筋のアーケードを 抜け

難波高島屋前の交差点に出た。

大阪の街に

寒波が やって来た。

昨日の夜中から 積もった雪で 辺りが 銀世界だ。

レトロの 建物の 高島屋が お城の様に 浮かんでる。

まるでおとぎの国だ。


傘をさし 行き交う人々。

「まいったなぁ」 大野は傘を持っていない。

信号が青に変わると 交差点を小走りに

高島屋に 向かった。


雪だというのに 金曜日の夕方だからか

高島屋の 前には 待ち合わせする 人々で 溢れていた。


交差点の途中で 白いコート 白いブーツ 白い帽子

白い傘を差した 若い女性が 大野の瞳を 捕らえた。


女性は 高島屋の前から 少し離れたところに 立っていた。

雪の様に 儚げな女性だった。


大野が 女性に目を やりながら 高島屋に入る 瞬間

彼女と目が合った。


交差する二人。

一瞬 時が止まった。



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