リリースのご予定はありませんか?

 あれから毎日王城に通っております、アルセリア・スティングラーです。

 いえ、本が目的で通わせてもらってるんだけど、ちょいちょい嬉しくない話とかも聞こえてくるわけなんですよ。


「殿下と結婚する気がないのならとっとと田舎にお帰りになればよろしいのに」

「ほんとにねぇ。殿下の好意を踏みにじってることに気づいていらっしゃらないのでしょう。ほら、田舎の方ですし」

「薄暗い部屋を好むなんて、陰鬱な方にピッタリじゃありませんこと」

「きっと私たちみたいに苦労を知らないのよ。貧乏貧乏言われてますけど、さぞかし貢がせてるのでしょうねぇ」


 こそこそ言ってるの丸聞こえ。いや、もう、あえてなんだろうけどね。ちなみにそんなことを言ってくるのは王城に奉公で上がってきている私と同じような下位貴族のご令嬢たち。まぁ、ようはメイドさん。あとは時折、殿下に直接物言いに来た上位貴族のご令嬢とかかしら。まぁ、お陰様で鬱々というよりも苛々が溜まってしまって、お兄様の兵団にお世話になっております! こちらのご厚意、大変甘えさせていただきてます!! いやー、上級兵団って凄い。専用の鍛錬場があるだもん。


「田舎田舎ってうるさいわね!」

「薄暗い部屋がお好きなのねって、本の保存に適した環境なだけですけど!! 陰鬱そう!? あなた方より大変マシですわ!!」

「苦労知らず? 貢がれてる? ハッ、笑っちゃうわ。こちとら、自分で魔物狩ったりして生活してますが、何か!?」

「てか、毎回毎回壊れた人形のように同じことばかりでよく飽きないことですこと!!」


 勝手に貢いでるのは殿下ぐらいよ。そこは口には出さない。誰もいない鍛練場で叫びながら木剣を振ってると軽快な笑い声が響く。降り返れば、呆れた様子のお兄様と大爆笑中のルーサー・パルウィン様。燃えるような赤髪に橙の瞳で一般の方からは目を引くようなイケメン。ただし、私の中ではお兄様やお父様、殿下に次ぐ形ね。ちなみにルーサーさん(様付けは嫌と言われました)はパルウィン公爵の嫡子で後々は公爵を継ぐだろうと言われてる方。更に言うとお兄様と殿下と同級であったりもする。


「いやー、妹君もベルと一緒だねー」

「何がでしょう」

「苛々したらとりあえず剣なりなんなり振って発散しようとするところ。アイツも学生時代の時に殿下と仲良かったから、結構あったみたいでさー」

「ルーサー、お前は妹に何吹き込んでやがる」

「いや、ほらー、お前ってば学生時代の事アルちゃんに話してなんだろうなーって思って」


 親切心だよ親切心、などと言いながらルーサーさんはお兄様の剣から逃げる。とはいっても、逃げずに受けることも兵団の兵長ともなれば容易でしょうに、お兄様で遊んでいるのね。お兄様とルーサーさんは同級生っていうのもあってかよく比較されることが多い。お兄様は陛下からも殿下からも目をかけていただいてるし、ルーサーさんもパルヴィン公爵家の嫡子でありながら、兵団の兵長を務めている。貴族の方々はそんな二人を比較して優劣をつけたいのだろうけど、本人たちは大して気にしてないのよね。私も勿論、気にしてないけど。だって、楽しそうに笑い合ってるのが一番よ。


「てか、アルちゃんってなんだ!?」

「いやー、ほら、愛称がアルでしょ。だから、アルちゃん」

「馴れ馴れしい!」

「いっつも思うけど、ベル、アルちゃん大好きだよなー」


 けらけらと笑うルーサーさん。けど、私は彼の後ろにいる人物を見て、一歩下がる。


「……アル、ちゃん?」


 低く呟かれたその言葉にふざけ合ってたお兄様とルーサーさんの動きが止まる。ギギギッと軋む音が聞こえそうな動きで二人揃ってその声の方を向いた。えぇ、そうなるわよね。わかるわ。ところで私、安全なところに逃げてもいいかしら。逃げさせて。


「「れお」」

「ねぇ、アルちゃんって何かな? 俺の知らない女の子のことだよね? それとも、まさか、そちらにいるアルセリア嬢のことじゃないよね?」


 口元は笑ってるけど、目が笑ってない。

 むしろ、なんというかアレよ。口にはしてないけど、俺はまだアルセリア嬢のことを愛称で呼べてないのに、っていう言葉が聞こえてくる。いや、好きに呼んでいただいていいんですよ? あ、でも、ちゃん付けは畏れ多いのとやっかみが増えそうなので遠慮したい。


「レオも呼びたかったら、呼べばいいじゃん。大体さー、アルセリア嬢とか堅すぎなんだよなー」

「なっ、それはレディに対して失礼になるじゃないか」

「えー、でも、俺最初から愛称呼びだしなー。ベルがアルアル言ってたから」

「おい、人のせいにすんじゃねぇよ」

「いやいや、間違えてないし、人のせいじゃないし」


 私は空気。ここにはいないものよ。


「で、実際問題アルちゃんはどうよ?」

「はい? 何がでしょう?」

「呼び方。アルセリアって呼んでほしいか、アルって呼んでほしいか」

「私としてはどちらでも呼びやすい方でかまいませんわ」


 さらっといないことにしてたのにルーサーさんは逃してはくれなかった。私いなくてもいいじゃない。大体、今の服装が動きやすいように男の子風なのに。

 ……あ、これ、これだわ。


「呼び方云々よりもこのような格好をする令嬢は殿下のお側にいない方がいいのではと思うのですが」

「うん? なぜだい?」

「王家という由緒正しい家には到底相応しくないと思いまして」

「気にすることはないよ。第一に綺羅びやかなドレス令嬢よりも生き生きしてるアルセリア嬢の方が美しいからね」


 これだと思って発言しましたが、にっこりと斬られました。私だけでは無理だわ、助けてとお兄様とルーサーさんを見たけど二人揃ってムリムリと首を振りやがった。


「さっきルーサーにも言われたけど、やっぱりアルセリア嬢っていうのは堅いね。アル、と呼んでも?」

「はい、お好きに呼んでいただければ。ただ、流石に殿下にちゃん付けをされるのは畏れ多いので遠慮いたします」


 呼びたかったと言うような空気が流れてきたけど私は無視。そうしないとずるずるなってしまいそうだもの。私はそんなに流されやすい子じゃないもの。本には流されるかもしれないけど。

 その後、お兄様とルーサーさんも一緒に食事をとった。最初は格好が格好だったし、断ったのよ。その際に私がお兄様を盾にしてたらそうなったの。しかもよ、殿下だけでなくまさか陛下ともご一緒することになるとは思わないじゃない。緊張しすぎて、あまり食べられなかったわ。ルーサーさんは王族の流れもあってか、特に緊張した様子はなく、殿下とも楽しく会話をしつつ、食事をとっていた。ただ、私とお兄様が緊張した理由がもう一つある。それはやたら王妃様が私とお兄様を観察してたこと。どこか粗相してしまったのかしら。いやでも、最後には嬉しそうににっこり笑ってたから意味がわからない。一体、なんだったのだろう。




 あれから、出来るだけ令嬢らしくない行動をした時などには貴方に相応しくないですよアピールをしてみたけど、全て良い方向にとられてしまった。うーん、どうしたら、私との結婚とか諦めてくれるかしら。誰かと恋仲っぽいですよーな噂も有りかなと思ったけど、残念ながらお相手になってくれる人はいなかった。むしろ、お兄様の所属兵団の方に提案したら首がもげるんじゃないかと思うくらい首を振って拒否られた。辛い。


「あれ? アルちゃんじゃん」

「あ、ルーサーさん」

「今一人? この後空いてる?」

「えぇ、夕方には予定がありますけど大丈夫ですよ。どうかしました?」

「いやー、まぁ、その、ココではなんだからさ、鍛練場でも行こうか」

「はぁ、まぁ、いいですけど」


 何だろう。歯切れの悪い言葉。人に聞かれたく無い話かしら。だって、わざわざ兵団の鍛錬場に移動するんですもの、そうとしか考えられないわよね。

 鍛練場にはすでに飲み物と丸椅子が用意されていた。ここに誘導することは確定だったのね。じゃなきゃ、用意なんてしておかないでしょうし。丸椅子はまぁ、私がココに出入りするようになって殿下も顔を覗かせるようになったから、その配慮だろうけど。


「正直に言うとね、アルちゃんに聞きたいことがあってココに来てもらったんだよね」


 でしょうね。そんなことだろうと思いましたとも。

 ルーサーさんに促され、椅子に座れば、飲み物を渡された。


「それで、お話とは」

「ある程度、予想ついてるんじゃないー?」

「……殿下のことですか?」

「そー。流石にさ、レオが可哀想に思えてきてねー、アルちゃんに本心を聞きたいなーって」


 飲み物は砂糖の代わりに蜂蜜を使ったミルクティーだった。うん、美味しい。それにしても、この甘さ、ベアントビーのかしら。

 まぁ、飲み物に舌鼓を打つのはあとにして、目の前のことを考えなくてはね。

 殿下が可哀想に思えたというのは本心だと思う。けど、私の本心が聞きたいというのはちょっと信じられない。もしかしたら、よく小説などである実は隠れてこっそり聞いてましたパターンとかしら。偶然やって来ましたパターンもあるだろうけど、そちらは時間などを知らせる必要がある。すれ違った人もいなかったから、このパターンの線は薄いはず。つまり、確認するとしたら、最初のパターンの隠れれる場所。


「アルちゃん、なんでそんなにキョロキョロしてるの?」

「いえ、小説などでよくこういうパターンを見ますので、殿下とかどなたかがもしかして隠れて聞いてるんじゃないかなと思いまして」

「そんなことしないよー」

「ちょっとだけ確認させていただきます」

「まー、いいけどー」


 チェックと言っても確認するべき所は大きく二ヶ所ってとこね。一つは倉庫。ここは扉式ではないので、中を確認しないとね。扉があれば扉を閉めておけばいいんだけど、ここは道具などの出し入れに邪魔になるからという理由でない。その代わり、鍛練場の入口に頑丈な扉が設置されているのよね。まぁ、それはともかく中をみてみましょ。今日は鍛練の予定もないからランタンに火を灯してない。そのため、暗い。入口から射し込む光だけではわからないわね。魔法を使おうかしら。そうすれば、明るくもなるし、魔法で隠れてたとしても見つけられたり出来るんだけど……。まぁ、正直なところだとこの鍛練場全体に使いたいのよね。あと一か所隠れることのできる場所――木剣が立てかけられているスタンドの裏も合わせて確認できるし。何故かというと私の使う光の魔法の一つには隠れるモノがあるとキラキラ光ってわかるの。でも、と私はルーサーさんを一瞥。

 お兄様やお父様の「第二の魔法は人に教えないこと」という言葉を思い返し、咀嚼する。わかってるわよ。私が正式に登録してるのは水の魔法だけ。だから、光の魔法が使えることを教えてはいけない。それはお兄様とお父様にも言えることでもあるのだけど。

 スティングラー家が世間様に隠していることの一つなの。昔は王家が降ることの多かった伯爵までの上位貴族までなら、稀に第二魔法を持つ子が生まれてた。けれど、今、王家以外では第二魔法を持つ子は生まれていない。つまり、私やお兄様が第二魔法を持つと知られれば、色々と面倒なことになる。勿論、スティングラー家が隠してることは大体その方面なのよね。だから、軽々しく言えるものでもない。

 チッと舌打ちをして、椅子に座れば、楽しそうなルーサーさんが目に入る。


「レオがいるかも期待した?」

「いいえ、いたら嫌だなって思っただけですわ」

「そこまで嫌うことないじゃん。あと、素の方でいいよー。話しにくいでしょ」

「では、失礼して。あと、殿下のことは嫌ってない、わ。むしろ、どちらかというと好みに入るもの」


 ミルクティーを一口飲んで、そう言えば、えっ? と驚いた顔。お兄様、喋ってないのね。夜会の帰り道に私はお兄様に本を見せてくれる優しい人がいたと伝えてた。その上で、容姿もよくてと話をして、アルは面食いだよななんて笑ってたのに。


「ちょっと待って、嫌いじゃなかったらなんであんなに嫌がってんの!? おかしくない? むしろ、喜んでってところじゃないの??」


 嘘でしょーと叫ぶルーサーさん。いや、嘘じゃないし。第一にここで嘘つく理由がないもの。


「しいていえば、お父様が嫌がってるからかしら。あとは出来るだけあの土地を離れたくないの。ついでに言えば、挨拶回りだとかそういうのが苦手だから」

「いやいやいや、えー、マジかー、そんな理由かー。ちなみに聞いていい?」

「何を?」

「なんで、鍛練場にレオがいたら嫌だと思ったわけ?」

「……聞いてたら、取り除きに動きそうじゃない。告白された時に理解したわ」


 極論、暴論とも言われてもいいけど、土地を離れたくないのなら、将来的に王都を移転しようとか、挨拶回りが苦手だとしたら、出席しなくてもいいようにしようとかやりそうだもの。お父様に関してはどうするのかは想像できなかったけど。

 それから、お友達からにしたところであんまりレオカディオ様のことはわからなかった。殿下自身は知ってもらおうと王家の行きつけのお店や王家の好む紅茶、食事なんか時間がある時に一緒に出掛けて教えてくれたけど、その、なんていうか、それは殿下の事じゃなかったのよね。本人は自分の事だと思ってるみたいだけど。


「それに先程の事の理由もあるけど、一番はそうね、私はまだ本当に殿下が、レオカディオ様が好きなことを知らないの。今日まで殿下が教えてくれたのは殿下が受けてきた教育であり、王家の事よ。私が知りたいのは殿下――レオカディオ・リヴァングストンその人のことなの」


 だから、彼を知れない以上、王家を愛せる方と結婚してくださいと伝えれば、ルーサーさんは大きな溜め息を吐いて、頭を抱えた。


「なおのこと、アルちゃんにはレオと一緒になってほしいなー」

「人の話、聞いてた?」

「聞いてたよー。聞いてたからだよ。ほら、アルちゃんもわかってると思うけど御貴族様ってのはその人を見ずにその人の家や称号なんてものを見るでしょ」


 俺もベルに会うまではそうだったけどさーというルーサーさんに私はどう答えたものかと考える。確かに貴族は家格を人よりも重視する。自分が出世するため、よりいい生活をするためと自分本位なところが大きかったりもするけど、政略結婚なんて言葉もあるのだから、当然と言えば当然ね。


「正直さー、参っちゃうんだよねー。わかっちゃいるけどってやつ」

「あら、それだったら、お兄様が傍にいるじゃない。それで十分でしょ」

「確かに今はベルが傍にいるけど、生涯じゃないでしょー。ベルだって子爵嫡子であるし、家を継ぐだろうからねー」


 そうなると選択肢はアルちゃんだけだよねー、と先程、頭を抱えていたとは思えない笑顔の発言。


「それにねー、レオのやつ、アルちゃんと一緒にいる時間を作ろうってペースを上げて仕事してたりするんだぜ」


 なーんて、暴露もする。え、それ、私が聞いちゃっていい話? 男の矜持とかっていうんだったら、言っちゃダメよね。てか、随分、話を交わし始めてからグイグイ殿下を押してくるわね。いや、元々、そういう目的だったんでしょうけど。


「……私はレオカディオ様のことを知るまでは断るわ。知れたとしても、どうしたいかはわからないのだけど」

「うーん、まぁ、脈なしではないってことがわかっただけマシかー」

「ちなみに報告したら、水の滴るいい男にしてあげるから、覚悟して」

「はははー、それは困るなー」


 困ると言ってるけど、それほど困った顔はしてない。まぁ、お兄様の話じゃ、ルーサーさんは火の魔法を使うみたいだし、相性は良くないわね。けど、ちゃんと言わなくちゃいけないことは言っておく必要があるもの。

 それからは他愛のない話。途中、ミルクティーを温め直してくれた時は火の魔法って便利ねと思ったものよ。今度、お兄様にお願いしてみようかしら。


「そういえばさ、ちょいちょい気になってたんだけど」

「なにかしら?」

「俺の頭の上になんかいるわけ?」

「いえ、なにもいないわ」

「ホントー?」

「えぇ」


 ちらりとルーサーさんの頭の上を見れば、赤い蜥蜴が寛いでいる。いや、蜥蜴というかドラゴンね。ぐでーんとドラゴンらしさのない姿。じっと見ているとぱちりと目が合った。


「いやいや、やっぱいるよね」


 ルーサーさんの言葉を無視して、見つめているとニタァと笑ったドラゴン。え、なにその顔、ブサイク。


「いないって言ってるじゃない。ところで、このミルクティーに使ってる蜂蜜って何かしら、とっても美味しいわ」

「話、逸らすなよー。教えてくれてもいいじゃんかー。あ、ちなみにそれはベアントビーの蜜な」


 あぁ、やっぱりそうなのね。甘みが深くておいしいもの。まぁ、こうやって飲むことなんてないのだけど。

 ちらりとブサイクドラゴンに目を向けると――。


「んぐっ!」

「待って、女の子が出したらいけない声が漏れたんだけど」


 変顔をしてくれてた。やめなさい、その顔。口に含んだミルクティーを吹き出しそうになったじゃない。おかげで、ルーサーさんが心配するくらいの変な声が出たし。


「やっぱり、なんかいるんだろ。悪霊か?」

「悪霊よりはいいやつよ。ただ、質が悪いの」

「いや、質が悪いのにいいやつってないじゃん。ほら、これでも使えって」

「ありがとう。その、この話は内密にしてもらえる? 勿論、殿下や陛下に報告したら、私はお兄様を攫って実家に帰るわ」


 ルーサーさんに渡されたハンカチーフを受け取り、口元を拭う。その際にちらりと書庫に遊びに行っていた私の精霊であるウィルに言うわねと視線を送れば、にこりと笑って頷いた。ウィルは正式にはウィルバート。銀に近い金髪にターメリックの目をしたちょっと殿下を大人にしたような容姿をしている。騎士の格好をしているのだけど、それがまたよく似合うのよね。まぁ、腰につけられたフットポーチがちょっと残念なところなのだけど。そして、彼は光の精霊であり、スティングラー家の初代当主にあたる。

 ウィルから視線を離し、ルーサーさんを見れば、内密にと言われ考えている様子。当然ね。公爵令息であり、兵団の兵長ともなれば、殿下なり陛下に何かしら報告する義務があるはずだもの。そうなると内密にというのは難しい。けれど、私の要求は通るはず。通してもらわないと困るわ。


「……わかった。流石にアルちゃんとベルに王都からいなくなられると困る」


 その返事を聞き、私は椅子に座り直す。そうすると話の流れがわかったのかルーサーさんの上にいたドラゴンはいそいそと私の膝の上に移動してきた。そして、キリリとドラゴンらしいカッコいい顔をする。いや、今更そんな顔をされても。あぁ、ルーサーさんに見せろというんですね、わかりました。

 私は一息ついた後、彼にスティングラー家の一つの秘密を告げる。

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