第8話
「は、はいっ」
アランはガッチガチに緊張しながらも前に進み出した。
「頑張って強いモンスター召喚するんだぞ」
アランの背中に向かって投げた応援は果たして届いたのだろうか。
「やり方はさっき説明した通りじゃ。そんなに力が入っておってはモンスターも応えてくれんぞ」
そう言われたアランは深呼吸をすると扉の前に立ちじっと扉を見つめ始めた。
竜種の事を考えてるんだろうなぁ…と思いながら眺めているとさっきの男の子の時よりも強く扉が輝き始めた。
輝きを増した扉が開きモンスターが召喚されると子供達から歓声が上がった。
艶々とした鱗に覆われた身体は大きく、その鱗の一つ一つは真っ赤な宝石を思わせる色でキラめいていた。生え揃った牙は鋭く大人の胴回りほどもありそうな四肢はパワーだけではなくスピードも兼ね備えているように見えた。
「ほほう、これはなかなか強力なモンスターが召喚されたようじゃの。召喚の儀でこれ程の竜を見るのは数年ぶりじゃな」
それを聞いたアランは恐る恐るモンスターに近づきそっと頭に手を伸ばした。
気持ち良さそうに目を細めるモンスターと今にも嬉しくて泣き出しそうなアランを見ているとなんだか少しおかしかった。
「お前はルディって言うのか、これからよろしくな」
「モンスターの方から名前を教えられたか、お主は陽月師の素質があるようじゃな」
「えっ、本当ですか⁉︎」
「うむ、モンスターとの繋がりについては説明したじゃろう。名前を教わるというのはそれだけしっかりとした意思の疎通が出来ているという事。陽月師に欠かせない資質なのじゃよ」
それを聞いたアランはルディに抱きつくと今度こそ大声で泣き出してしまった。
憧れていたイヴさんと同じく竜種を召喚でき、陽月師としての資質を見出されて嬉しくてたまらないんだろう。
「さて、次はどの子に召喚をしてもらおうかの」
そう言ったモンスター爺さんの顔はいたずら好きの少年のように笑っていた。
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