第4話
飛行機が東京に到着すると彼女はスタッフに別れを告げ故郷向けの飛行機に乗りこみ休暇の人になった。
飛行機は九州へ向かった。
夕暮れ時に飛び立つ機内から、東京の夜のライトが見えたがやがてそれも次第に遠くになって行った。
故郷にはもう父も母もいなかった。
少女時代に父も母も一緒に東京へ出てきた。だから故郷の友人も無く、故郷は心の中にあるだけのものになっていた。
今回のミラノでの演奏会のコンセプトに故郷を主題に置いた。
故郷を出てもう十年が経っていた。
二十五歳になっていた。音楽を愛して技術と研鑽を重ね技術を磨く大学の日々。そんな日々の中で自分の演奏が海外の音楽家の目に留まりウィーンへ留学。そこで多くのことを学んだ。
ウィーンでは音楽を愛するように人を愛することを挫折の中に学んだ。
窓の外を見た。
飛行機の翼に雲がぶつかり流れ、遠くの空がオレンジから紫に変わろうとしている。
(到着する頃は夜ね・・)
そんなことを考えていたが、やがて睡魔が襲ってきた。
飛行機の窓を閉めると律子は眠りについた。夢の中でいつものへび座の銀河が見えた。
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