第一部《創世記》

 はじめに神は天と地を創造された。


  (そうだったん? 「光あれ」が最初かと思ってたわ)


 そして始まる6日間の大地の調整テラフォーミング。初日に「光あれ」で昼と夜、一日の時間単位ができるまで、それ以前の天と地の創造期間は定かでない。

 多分4日目が一番大変。昼と夜、季節や年がわかるしるし時計のため、太陽と月、ついでに星を造られた。7日目はお休みです。


  (時計かよ!)


神「俺様、星の名前全部言えるんだぜ。スゲーだろ」

 

  (星が出てくるのはそれだけかよ! 星の立場低いな!)

 

  

「んー動物の世話めんどくせーな。ヒューム人間でも作るか。コネコネ。地面の土から作ったから、名前は『地面アダム』な。もういっこ作って、こっちは『エバ』な」


地面アダム「ハイ」

エバ「ハイ」


「オマエらヒューム人間は動物の名前でも考えてろ」

「そのへんの果物食っていいぞ。ただし冷蔵庫のプリン真ん中辺りの木は食うなよだ」


 (中略)


「テメー、オレは冷蔵庫のプリン善悪の実(*1)だけは食うなっつたよな! 聞いてなかったのか!」

アダム「つ、エバが食べていいって...」

エバ「へ、ヘビ(*2)が食べていいって...」

神「まずヘビ、オマエは手足なくしてにょろにょろしとけや。あとヒューム人間と敵対して踏まれてしまえ」

神「エバ、まず子を産むの大変にしとくから。あとオマエに判断させるとろくなことしねーな。アダムの言うことだけ聞いときゃいいんだよ。それが罰だ」


 (コレが、西洋において男性が女性を支配する根拠に長いことなってたようだ)


アダム「あの、オレは?」

神「罰はない。ただ地面を呪って、ついでにトゲトゲ植物アザミ生やしといたから、こっから出たら苦労するかもな」


 (地面と動物はとんだとばっちりである。すごい贔屓(ひいき)を見た)


「とにかく、さっさと出てけ!」

 ...

「ふーこっち永遠の命の実は食われなかったみたいだな。念のため炎の壁ファイアーウォールで囲っとこ」


 (中略)


「あー、ヒューム人間の奴ら、俺の言うこと聞かねーし、子分真の神の子ヒューム人間の女とキャッキャウフフとよろしくやって、子供ネフィリムまでつくってるしよ。ムカつくわ。ヒューム人間なんか造るんじゃなかった」


「ただ、コイツノアは見所あるな。それ以外皆殺しミナゴロシな」


 ザバーン。すべて洪水で押し流されました。(ここは有名)


 (中略)


ヒューム人間の奴ら、俺様に断りもなく文明バベルの塔なんか作りやがって。プチっとな」(ここも有名)


 (中略)


「んーコイツアブラムも見所あるな。声かけとくか」

 

「我が力を貸してやろう。オマエの子孫が星の数ほど増えるように、これからオマエは『いと気高き父アブラハム』と名乗るがよい」

「ただし包茎手術割礼しろ」 

「そしたら、子孫を繁栄させたるわ。頑張って子作りしろよ産めよ増やせよ地に満ちよ。オマエらだけな」


 (中略)


とある王国エジプトに流れ着いた『いと気高き父アブラハム』とそのサラ。妻は非常に美しかった。

「おい、その女は何だ」「妹です」


妹と聞いて、『いと気高き父アブラハム』の妻に色目を使う王。そこに神が力を貸す。

神「おっとそこまでだ。人妻に手を出すのはご法度だな。払うもん払ってもらうか」

王「い、妹だったのでは……」

 

 疫病でバタバタ死ぬ王国の民。(いや罰は民じゃなく王にしろよ)

 

王「ひ、ひー勘弁してください。なんでも払いますから」

 

 美人局(つつもたせ)成功(一回目)。

 

 (中略)


また別の王国ゲラルに流れ着いた『いと気高き父アブラハム』とその妻。

「おい、その女は何だ」「妹です」


 妹と聞いて、『いと気高き父アブラハム』の妻に興味を持つ王。そこに神が力を貸す。

神「おっとそこまでだ。人妻に手を出すのはご法度だな。払うもん払ってもらうか」

王「まだ色目すら使ってませんが……」

神「今回は、手を出す前に忠告させてもらった」

王「い、妹だったのでは……」

いと気高き父アブラハム』「実は妹で妻なんです。兄妹(*3)で結婚したわけでして」「おにいちゃん……」


神「王妃も王女も侍女も召使も、王宮内の女という女は子を産めなくしてある。払うもん払ったら呪いを解除してやろう」


王「ひ、ひー勘弁してください。なんでも払いますから」

 

 美人局成功(二回目)。

 

 (中略)


 時がたち、『いと気高き父アブラハム』とその妻はイサクを産み、その子も成長した。そして美しい妻リベカと結婚する。


 また別の王国ペリシテ人に流れ着いたそのイサクとそのリベカ

「おい、その女は何だ」「妹です」


 妹と聞いて、しかし興味を持たないアビメレク

「他国の王から聞いてるぞ。私と王妃の仲は良好でな。貴様の妻には絶対に手を出さない。絶対にだ」


 美人局失敗(三回目)。


 (中略)

 

 そして『いと気高き父アブラハム』の子孫ヤコブと、神(*4)との邂逅。暗闇での格闘。


「え、オマエ、オレ様見て死んでないの? よっしゃマブダチな。『神に勝つ者イスラエル』と名乗っていいぞ」


 (え、普通は死ぬのかよ。『子孫を繁栄させる』っといて、死んでたらどうするつもりだったんだ?)


 (中略)


補足


*1)善悪の実

 「知恵の実」という言い方もされますが、どちらが正しいのかわかりません。どう訳すかで、訳者の思想、読者の印象が変わります。



*2) ヘビ

 当時のユダヤ教解釈では「そりゃヘビに咬まれたら踏み潰すだろ」(ユダヤ人歴史家 ヨセフス)


 キリスト教解釈では、このヘビは悪魔サタン反対者の化身で、人類を堕落させるための罠、騙されたエバが原罪。ヘビが踏まれるのは、後に人類の子孫人の子として生まれるイエス・キリスト救世主が、将来悪魔サタン反対者を滅ぼす予言だそうな。

 個人的にはこじつけすぎだと思う。なお旧約には「反対者」は出てきますが、「悪魔」は出てきません。


 SF解釈では、主神の奴隷にされてる人類を憐(あわ)れんで、一部の神が知恵を授けた、となります。初出は知りませんが、ギリシャ神話では、人類を憐れんで火を与えたプロメテウスが主神ゼウスに罰せられるので、その辺りか。

 ネタバレになるので名は出しませんが、王道ファンタジーかと思ったら最後SFで、人類を助ける神と思ってたのがヘビ相当の宇宙人、モンスター(ここでいうトゲトゲ植物)生みだしたラスボスが主神相当の宇宙人、てのがありました。


*3) 兄妹

 旧約聖書を記述しているヘブライ語では、兄妹・義兄妹・従妹いとこが同じ語なので、どれか不明


*4) 神

 キリスト教では「み使い」「天使」と訳されてますが、原文では神と同じ語。いっぱい神が出てきて、神々の会議とかもあります。一神教というより一心教(オレ様だけを一心に愛せ)。

 上司のお気に入りを天使下っ端が勝手に殺しかけたら、上司から懲罰モノだと思うので、ここでは神としました。

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