ラナ・バラタ

 地球がある銀河とは別の銀河にラナ・バラタという惑星がある。


 ラナ・バラタの動植物は地球と同じ進化体制を辿り、地球のと同じ人類や動物、植物が多数存在していた。しかしラナ・バラタの科学技術は地球よりも遥かに発達しており、特に微小の機械を作り出して利用するナノ・テクノロジーは、様々な分野で有効活用できる段階まで達していた。


 汚染された環境の改善、人体を蝕む病気の治療。そして若く健康な身体を長い期間維持する不老長寿の実現。


 ラナ・バラタの人類は高度に発達したナノ・テクノロジーにより自らが抱える多くの問題のほとんどを解決し、今後もさらなる発展を迎えると思われた。しかしその望みは突如現れた「外敵」の存在によって儚くも崩れ去る事になる。


 デス。


 立体化した巨大な人間の影の外見をした精神生命体。デスの目的は人類を初めとする全ての命を殺す事で、そのことからラナ・バラタの人類はこの精神生命体を「デス」と名付けた。


 精神生命体であるデスには物理的な破壊力しか持たない兵器は通用せず、デスが襲撃を開始した当時、ラナ・バラタの人類には対抗する術はなかった。


 しかしラナ・バラタの人類はデスの研究を重ね、ついにデスに有効な攻撃手段と、その攻撃手段を実行する為の人型兵器「戦者」を開発する。そして戦者に乗って操縦する、体内にナノマシンを移植して身体能力を強化した操縦士は「戦師」と呼ばれた。


 戦者というデスに対抗する手段を得たラナ・バラタの人類はすぐに反撃を開始した。これによってラナ・バラタにも希望が見えたかと思われたが、これは絶望的な戦いの幕開けであった。


 戦者によって構成された部隊は確かにラナ・バラタを襲うデスを撃退したが、その直後に新たなデスが、しかも最初は一体だけであったのに二回目からは複数出現してきたのだ。


 どれだけ戦者の部隊がデスを倒しても、すぐに新手のデスが数を増やして現れてくる終わりの見えない戦い。皮肉な事にラナ・バラタの人類が戦者という戦う術を得た事で、デスとの戦いはより激しくなってしまったのである。


 絶え間無く続き激しさを増し続けるデスとの戦いによって、前線で戦う戦者の部隊だけでなく、人類を初めとするラナ・バラタの全ての生命が傷つき倒れ、その数を減らしていった。


 初めてデスが現れてから十年以上の年月が経ち、いよいよラナ・バラタの全ての生命が絶滅の危機に瀕したその時、ラナ・バラタの人類はついにデスの正体を突き止め、残った全ての戦力を集めて最後の戦いに挑んだ。


 そしてその最後の戦いに参加した者達の中に、十五歳になったばかりの戦師の少年レオの姿があった。

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