第68話 セクハラ大臣は今日もゆく

「ここが沖縄か·····、海が綺麗だ」


空港から出ると、すぐにオーシャンビューが広がった。

さすがにテンションが上がる。


「海、水着、海、水着·····」

「ユウキ、煩悩が漏れてるよ」


すかさずに小森が、ツッコミを入れる。

止まらねぇんだ、男の煩悩ってのは。


「お前も水着、着るのか?」

「着るけど、見た事あるでしょ」

「まぁな」


ナイスバディだったからな、俺の記憶に刻み込んである。

今回は、たくさんの女子の水着が見られる。


「興奮してきたぁー」

「あなた、変人よ」

「お前の水着ももちろん楽しみだぜ」

「な、何を言ってるの!?」


小倉はとりあえず適当に言っとけば、照れて何も出来なくなる。

今だって赤面して口をパクパクさせている。


「御影、最低·····」


三橋が、ゴミを見るような目でこっちを見てくる。


「三橋は一体、どんなエロエロな水着なんだろうな」

「う、うるさい·····」


セクハラ大臣は今日も健在である。


「ふぅー、凌太、海行かね?」

「賛成」


ホテルに着くと、そこからはしばらく自由行動だ。

俺たちは早速海へ行くことにした。


「ここら辺で張ってれば来んだろ」

「じゃあ俺は少し泳いでくるわ」


岩陰に身を隠し、女子を待つ作戦だ。

凌太は先に泳ぎに行ってしまった。

ここからは運と我慢強さの勝負だ。


「ねぇねぇ、ここで何してんの?」

「え? 女子を待ってる」

「そうなんだー」

「そうだよっておい!」


後ろから凛に、普通に回り込まれてしまった。

全然気づかずに、会話をしてしまった。


「僕と少し、自由行動しない?」

「うーん、良いけど」


凌太には申し訳ないが、女子誘われてしまった仕方がない。


「どうしたんだ? 一緒に行動しようなんて」

「だって僕は君が大好きなんだよ、デートぐらいしたいと思うのが普通だろ?」

「そ、そうだな·····」


ここまでストレートに言われると照れる。

沖縄の暑さのせいか分からないが、顔が赤くなっている。


「照れちゃったの? 可愛い」

「て、照れてねぇよ」

「ふーん」


こいつには見透かされている気がして、心が休まらん。

でも、可愛いんだよなぁ。


「へー、嬉しいな」

「うるせー」


ほらね、考えてること全部バレてる。

これは浮気とか出来ねぇぞ。


「僕は絶対に許さないけどね」

「·····もう怖い」


こいつは一応、剣道部の部長なんだよな。

気をつけておかないと。


「ユウキ、最終日なんだけどさ·····」

「どうした」

「一緒に回らない?」

「良いけど·····」


内心では、豪快にガッツポーズをとった。

お父さん、お母さん、近いうちに彼女ができるかもしれません。




















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