第28話 俺の理性が爆発寸前なんだが

「はぁ、なんで俺が·····」


結局あの後の競技決めでは、ジャンケンに負けまくって不人気な二人三脚になってしまった。


「しかもこいつと」

「不満?」


ペアの相手は小倉だ。

もうダメだ、体が密着する競技だろ?

こいつが耐えられる訳がない。


「こう見えても二人三脚は得意よ」

「本当かよ」

「ほんとよ」


こいつとは反りが合わない。

顔を合わさる度に言い合いをしてしまう。


「喧嘩は無しな?」

「当たり前よ、目指すは優勝よ」

「そうだな」


俺がこいつを操縦出来れば、穏便に終わる。

簡単に出来るだなんて思ってない。

まぁあと半月で上手くやるさ。


「御影君、早速練習よ」

「随分と気合い入ってんな」

「当たり前よ、勝負には負けたくないもの」


そりゃ俺もそうだ。

勝負と名のつくものには負けたくない。


「しっかりして、御影君」

「だ、ダメだー!」


ここで問題が発生した。

俺の理性が崩壊しそうだ。

女の子特有の柔らかい膨らみが、背中に押し付けられる。

しかもこいつは結構発育がいい。


(もし興奮しているのがバレたら、殺される)


社会的にか、物理的にかは分からないがどっちにしろまずいことになる。


(耐えろ、この時間だけは耐えるんだ)


俺は覚悟を決めた。


「キャッ」


バランスを崩した、小倉がギュッと体を掴んでくる。


「あっ」


覚悟はいとも簡単に打ち砕かれた。

倒れ込むともう動くことは出来ない。


「ごめんなさい、大丈夫?」

「あ、あぁ·····、今の所はな」


俺は興奮が治まるまで、身動きがとれない。

ずっとうつ伏せの俺に、小倉が不審がる。


「立てないの? 手を貸してあげるから立ちなさい」

「ありがとな」


もう立っているといっても、過言ではない。

ビンビンだ。


「早くして、時間がなくなっちゃうわ」

「ごめんごめん、ちょっとな」


何とか鎮めることが出来た。

昨日見た、月刊ボディービルダーのおかげだ。

筋肉バンザイ。


「あのさぁ、場所入れ替えない?」

「別にいいけど」


今度は前後を入れ替え、再チャレンジ。

またもや試練が·····。


(俺のヌシが当たる)


ちょうど小倉のお尻に、ユウキのヌシが当たるのだ。

柔らかな感覚に、またもや立ち上がる。


「·····! 御影君、ちょっと良いかしら」

「え!?」


正直もう覚悟は出来ていた。

完全に俺が悪い。

恐る恐る顔を見ると、案外怒っていなかった。

ただ、顔を真っ赤にしていた。


「ま、まぁ男のだから仕方がないことだけど、し、鎮めなさいよソレを」


すっげぇ照れてる。

だってただのセクハラだもんな。

俺も正直に答えよう。


「ごめんなさい、無理ですっ!」

「鎮めなさい、さもなければ呼ぶわよ」

「誰を·····?」

「一番怖い先生ね」

「検討します」


その先生はこの学校の実質のトップ。

インテリヤクザみたいな見た目をしてる。


「前途多難が過ぎるぜ·····」


体育祭まではあと半月。

乗り越えるべき壁がたくさんだ。






















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